無余涅槃
無余涅槃(むよねはん)とは、仏教用語で、肉体などの制約から完全に解放された、永遠のさとりの境界を意味します。煩悩を断ち、分別を離れ、肉体をも滅しつくした悟りの境地であり、生存の根源を残さない境地です。 無余涅槃は、生理的欲求さえも完全になくしてしまうこと、つまり肉体を滅してしまって心身ともに全ての束縛を離れた状態です。
無余涅槃は、有余涅槃(うよねはん)と対比されます。有余涅槃は、煩悩は断じたが肉体はなお残存する場合、無余涅槃は、煩悩も肉身もともに完全に滅した状態をいう。 上座部仏教では完全な涅槃である無余涅槃を最終目標としますが、大乗仏教では利他行(他の衆生の救済)を重視する立場から無余涅槃は「利己的な涅槃」にすぎないと批判的にとらえています。