川水に鹿のしがらみ掛けてけり浮きて流れぬ秋萩の花
語釈
川水
川の水。
水の流れを止めるために杭を打ち、木や竹を横に並べて組んだもの。 転じて物事にからみつくもの、まつわりつくものをいい、現代語はこちらの意味が重くなってきている印象。
瀬をせき止めると深い淵となり、流れがよどむことだ。(しかし、)人の別れ、死別を止めてくれるしがらみはないのだ。
流れぬ
ラ行下二段活用「流る」の未然形+打消の助動詞「ず」の連体形。
当初完了の助動詞「ぬ」と取ってしまっていたが、誤りcFQ2f7LRuLYP.icon
「しがらみ」と呼応すると考えなければならんかったcFQ2f7LRuLYP.icon
流れない、の意。
この歌では鹿が秋萩でしがらみを作っているよ、という見立てをしている。
しがらみは人の作為で水をせき止めるもの
こちらは風の散らした紅葉が水をせき止めている様子を、「風の掛けたるしがらみ」と表現する。
現代語訳
川の水に、鹿がしがらみを掛けているよ。水に浮いて流れずにいる秋萩の花が、そのしがらみだ。
参考
2021-10-30 07:43