嵐ふく空にみだるる雪の夜に氷ぞむすぶ夢はむすばず
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嵐ふく
風が強い
空にみだるる雪の夜
雪が空に乱れている
氷ぞむすぶ
結氷。氷が張ること
仄かに恋歌のような余韻が残るが(みだるる、むすぶ、夢)、寒さと五句の断定からは厳しい拒否感・否定を感じさせる
氷ぞむすぶ/夢はむすばず 肯定否定を番えているのも、否定を強めるはたらきがありそう
似たような句に 「恋しとは便りにつけて言ひやりき年は還りぬ人は還らず」がある(六百番歌合・遠恋) 嵐の雪の夜に氷が結ぶことはあっても、それ以上に凍てついた心の中で自分の夢はもう結ばない。同時代にも以降にも、これはちょっと類のないものすごい傑作だと思う。
しかしこのすさまじい歌は『新古今集』には採られなかった。あまりにも冴え過ぎて、勅撰集に入れようがないと判断されたためだろうか。しかし良経にとって、自分の歌が勅撰集に採られるか採られないかはもうどうでもいいことだったような気がする。