静への愛は誰にも負けん
「今日の遥、めっちゃかわいいよ」
ベッドに座った静が、向かいあった僕を見ながら言うた。
静のかわいさにめちゃめちゃ興奮しとったけど、自分の格好を思い出してなんとも言えん気持ちになった。
48歳のおっさんがケツ丸出しのミニスカやけんね、これはもう変態通り越して犯罪やけん。 もし今このホテルが火事になっても、この格好で避難するくらいなら焼け死ぬけん。仮に避難しても愧死するけん。 「ほんなことないよ。遥があんまりかわいいけん、ほら見てぇ?」
静は膝立ちになって、短いスカートをめくってみせた。
元気やなぁ。さすが20代やなぁ。僕でほんなになってくれるん、嬉しいなぁ。
「ほれ言うたら僕やってこうやけんね」
僕は同じようにスカートをめくってみせた。
静でなかったらこうはならんよ?
静は恥ずかしそうに、ほなけど嬉しそうに笑うた。
「静、僕はもう我慢できんよ」
膝立ちした静の腰をつかんで引き寄せると、静も僕に抱きついてきた。
「僕ももう限界や」
静が切ない声で言うた。
「遥、めっちゃかわいかった」
僕の腕に抱かれた静が、楽しそうに言うた。
「何べんでも言うなぁ」
「言うよ、かわいかったんやもん」
ほの衣装は、今は二人とも脱いで布団の上に散らかしたある。
静はサイドボードからスマホを取って、写真を見よった。 「見てぇ、僕のお気に入り。丸いお尻がめっちゃかわいいの」
ほうして僕に向けて、僕の恥ずかしい写真を見せてくれた。
僕には何がええんかまったくわからんけど、静はホンマに嬉しそうな顔をしとった。
静は正直なけん、嘘はついとらんってわかるよ。ホンマに、僕のことをかわいいって思うてくれとんのやね。
嬉しいよ。嬉しいけど、何がええんかはまったくわからん。
「これ、東雲さんが見たら大変やろなぁ」
「へぁ?!」
急に静がとんでもないことを言うけん、僕は思わず変な声を出してしもた。
「東雲さん、遥が好きなけんなぁ」
「友達としてな?!」
僕は慌ててほう付け足した。
確かに、友達としては僕も東雲さんのことが好きやし、東雲さんに好かれとう自信もある。
ほんで東雲さんは僕のことが好きなんと同じくらい、静のことも好きやと思う。
「こんなかわいい写真見たら、一発K.O.やろなぁ」
「悪い意味でな?!」
こんなもん見たら普通の人やったら卒倒するよ。喜ぶんは静だけやん。
「遥は神田橋さんからも東雲さんからも愛されとうけん。僕は遥がみんなから愛されとんが嬉しいよ」
ほう言うて静は僕の胸に顔を埋めた。
ありがとう、静。ほうやな、僕も、静も、いろんな人から愛されとんな。
「ほなけど一番遥を愛しとんは僕やけん、忘れんといてぇ……」
甘えた声で静が言うた。もう、ホンマにかいらしなぁ。 誰よりも一番静に愛されとうこと、一瞬やって忘れたことはないよ。
「忘れんよ」
僕は静の頭を優しくなでながら言うた。
「一番静を愛しとんも、僕やけん」
静への愛は誰にも負けん。間違いないよ。
みんなの静。ほなけど僕の胸で眠る静は、僕だけが知っとう、僕だけの静。