ニューヨークをなんやと思とんや
今日の静はホテルにスポーツバッグを持ち込んどった。 ははぁ、さてはまた何かコスプレをしてくれるんやな? 静は何を着ても似合うけど、脚がきれいなけん短いスカートがよう似合うんよなぁ。 もう、想像するだけで涎が止まらへんわ。歳を考えろっちゅうほど元気になってまうわ。
風呂から上がって、僕は静と並んで歯磨きをしながら、鏡越しに白いきれいな体をじっと見よった。
静もちらちら僕の方を見よった。
「どしたん、変な顔して」
うがいをした静がおかしそうに笑いながら言うた。
やっぱり顔に出とったか、静には隠し事ができんな。
「いや、かわいいなぁと思て」
え、なにほれ?さてはなんかあるな?
「今日は遥もかわいいにしたげるけん」
静は僕の手を引いて、ウキウキした様子で部屋へ続くドアを開けた。
なんか嫌な予感がするわ……。
「いやいやいや……」
僕は手渡されたTシャツを着て、激しく動揺した。
ほなってこれ、胸しか隠れんくらいのちんちくりんやん。
これを着るまで気が付かん僕も僕やと思うけど。
Tシャツに一切納得がいっとらん僕に畳みかけるように、静がパンツと呼ぶ謎の黒い布を手渡してきた。
これ、僕が知っとうパンツと違うんやけど。お尻が丸見えなんやけど。
「ほんでスカートはこれ」
赤いチェックのミニスカートを手渡された僕は、さすがに固まってしもうた。
これ絶対ケツまで隠れんよね?
「……嫌の?」
動きを止めた僕を見て、静は上目遣いに小さな声でほう言うた。
「ほなってこんなん、僕が着たってきしょいだけやん!」
さすがに抗議するわ、静しか見てないとはいえ、恥ずかしすぎるもん。
「きしょいことないよ、かわいいよ。ほれに僕やって同じの着るもん」
静は目を潤ませて言うた。
「静もこの格好するん?」
「するよ」
「このパンツも履くん?」
「履くよ」
「ほなまぁええか」
実のところ、ほなまぁええかどころとちゃうかった。
静がこんなクッソエロい格好すると考えただけで、僕は大興奮状態やった。今ならどんな恥辱にも耐えられるよ。
僕はケツ丸出しのマイクロミニスカートを履いて、黒いハイソックスで足元を仕上げた。
最後に黒いキャップを後ろ向きにかぶると、静は声を上げて喜んだ。
「めっちゃかわいい!夜のニューヨークにおりそう!」
静、ニューヨークをなんやと思とんや……。
僕が言うと、静は「するよぉ」と言うてスポーツバッグから僕のよりずっと小さな衣装を取り出した。
僕はもうほの小さい服を見ただけで、顔が緩んでしもた。
「ホンマにこのパンツ、なんなんやろね」
静は笑いながら謎のパンツを履いた。
ホンマなんなんやろ。ほなけど静が履くとめちゃくちゃエロかったけん、このパンツを作った人は天才やと思うた。
胸だけが隠れる小さなTシャツは静の白うてきれいな体を引き立たせて、短すぎるミニスカートもまた裸よりも静を官能的に見せた。
最後に静は僕と同じようにキャップを後ろ向きにかぶって、いたずらっぽく笑うた。
アカン、我慢できん。今すぐ抱きしめたい。
僕が腰に手をかけると、静は顔の前で人差し指を立てて、左右に振った。
「ほの前に写真撮らせて?」
「うぇ……」
「嫌の?」
静、ズルいよ。ほんな格好でうるうるしながら上目遣いで見られたら、僕はなんも言い返せんよ。
結局僕は、静にポーズを取らされて何枚も写真を撮られてしもた。 ほの代わりに僕も静の写真を撮らせてもうたけん、win-winやけどな! 僕のアルバムに、また静の写真が増えたんが嬉しかった。 静のアルバムも、僕の写真でいっぱいにしたいな。こんな恥ずかしいんは考えもんやけど。