温かいなぁ、静は
風呂上がりの体は火照っとった。
静は白い肌を上気させて、僕を見つめた。
首筋にキラキラと汗が光る。
服の下には、こんなにきれいな体が隠れとったんやな。びっくりするよ。
華奢やけど、筋肉がついて均整のとれた体や。ホンマに、天使みたいやな。 これからは制服着とってもこの体がちらついてしまいそうや。
僕が腰に触れると静はキャハハと笑うて、くすぐったそうに身をよじらせた。 温かいなぁ、静は。
僕は静の細い腰を抱き寄せた。
静のすべすべした肌が、僕の肌にしっとりと吸い付く。
二人分の汗が混ざって、僕の足を伝って流れ落ちた。
これだけで気持ちようて、僕はもう、おかしいになってしまいそうや。
「男は初めて?」
僕を見上げて静がささやいた。いたずらっぽい目をしとった。
静の吐息にくすぐられて、僕は体の芯が熱くなるんを感じた。
「うん」
僕は静を抱く腕に少し力を込めて答えた。
静の熱い汗が、僕の指に絡みつく。
まさか男を抱くなんて、この歳まで考えもせんかった。
僕は同性愛者とは違うと自分では思とったけど、その考え方が違うんかもしれん。
性別はなんでもええんや、僕が好きなんは男とか女やなくて、静なんやから。
「僕は、遥が最後や」
静の唇が、僕の鎖骨に触れた。触れられたところから、熱が体中に広がっていくような感じがした。
静は僕のこと、よう知っとうね。何を、どんなふうに言うたら僕が喜ぶんか、よう知っとう。
僕は静にされるがままや。静に、喜ばされるがままや。
僕は目を閉じて静とキスをした。静の唇は柔らかかった。静の舌は小さあて、熱を持っとった。 「その言葉、後悔させんけん」
僕は静の瞳をじっと見つめて言うた。
静の瞳はルームランプの明かりを反射して、宝石みたいにキラキラ光っとった。
静は僕の胸に手を当てると、上目遣いに僕を見て、小さな舌で赤い唇を舐めた。 濡れた唇は、食べごろの果物みたいやった。
うっとりした顔で、静が言うた。
かわいいな、静。
僕の匂い、僕の温度、僕の形、全部静に教えたい。
僕のこと以外考えられんようになるくらい、いっぱい愛したい。
僕はもう、静のことしか考えられんくらい静を愛しとる。