家で読んでな
「伊勢原さん」
「ん?」
廊下で呼び止められて、遥が振り返る。
「家で読んでな」
静は少しうつむいたまま、遥の手に白い
封筒
を押し付けた。
静の手は少し汗ばんで、小さく震えていた。
肌が白いので、頬が紅潮しているのがよくわかる。
「僕に?」
少し驚いた顔をする遥に、静はうなずいてみせた。
「家で読んでよ」
静が、上目遣いで遥を見た。
「わかった。ほな、お疲れさん」
遥は封筒を
胸ポケット
に入れると、静に小さく手を振って微笑んだ。
#これ、ラブレターや