僕はおらんほうがええの?
夜になったら、僕、急に寂しくなって。
遥に会いたくなったけど、仕事で疲れとんのに夜に会いたいなんて言うたらアカンと思って。
でも僕、寂しくて。
つらくなって、遥に電話したんやけど、我慢できんでまた手首切ってしもた。
遥はすぐに家まで来てくれて、ようがんばったって、偉いって言うてくれて、次の日も早いのに病院に連れて行ってくれた。 遥はいつも優しくしてくれる。
僕は、遥に甘えてばっかりや。
僕、遥のためになんもしてあげれとらん。
僕、遥の足かせになっとんちゃうやろか。
ほんなことを思うとまた悲しくなって、僕は泣いた。
「痛むか?」
家まで送ってくれた遥が、心配してほう言うてくれた。
「僕はおらんほうがええの?」
僕は訊いた。
遥は小さくため息をついて首を横に振った。
遥はほう言うて、僕を抱きしめてくれた。
そして、いつもみたいに髪をなでてくれた。
僕は遥にしがみついて泣いた。
「会いとうなったらいつでも言うてき。いつでも会いにいくけん。何を遠慮しとんな、僕は静のことが世界で一番大切なんやぞ。いっぱい甘えて、頼ってき」 遥は優しい声でほう言うてくれた。
遥とおるときが一番安心する。一番幸せや。
僕なんかでも生きとってええんやなって思える。生きとらないかんのやなって思えるよ。
遥を幸せにしたい。遥のために生きとりたいよ。