何がつらいんか訊いてもええ?
「気分はどうや?」
僕が声をかけると静は起き上がろうとした。
僕は静に手を貸した。
静は僕に抱きついたまま離れんかった。
僕は静の頭をなでた。
静は泣いとった。
「何がつらいんか訊いてもええ?」
僕には何がそんなに静を苦しめとるんかわからんかった。
「なんで僕は遥の子供を産めんの?」
僕を見上げて静が言うた。
僕は答えられんかった。
「ごめんよ、静。僕にはわからんことばっかりや。ごめんな、つらいな」
答えられん代わりに、僕は強く静を抱きしめた。
「遥、わからんことばっかりや。花火も何回一緒に見れるかわからんって言うた」 僕の腕の中で、僕を責めるように静が言うた。
僕はずっと、何度も、静に謝り続けた。
僕にはそれしかできんかった。
つらいな、静。
気づいてやれんかってごめん。
静は僕の服を掴んで泣いとった。
「謝らんでもええんよ。静は何も悪うないよ」
僕は静がかわいそうで仕方がなかった。
何で静がこんなに苦しまなあかんのか、理解できんかった。