伊勢原さんはまだ若いしかっこええッスよ
遥にスマホのカレンダーを見せながら、興奮気味に和が言った。
「へー」
遥は和のスマホをちらりと見やって、気の抜けた返事をした。
「反応うっす!クリスマスが何の日か知ってます?」
進行方向に回り込んで煽ってくる和の頭を、遥が鷲づかみにした。
その言葉を聞いて、和は「忘れるわけないでしょ」と声を上げた。
頭を解放された和が、手ぐしで髪を直しながら言った。
「何で僕の誕生日にみんなでイルミネーション見に行くんよ」
和とは反対に、遥は興味のなさそうな様子だった。
「え?なんスか?もしかして女と行くけん俺らとは行けんとか?」
和がニヤつくと、遥は再び和の頭をつかんで桃色の髪をぐしゃぐしゃにした。
「こんなおっさんもう誰も相手にしてくれんわ」
「伊勢原さんはまだ若いしかっこええッスよ!」
和が悲鳴を上げながら言った。