おかえりなさい
「お疲れ様です」
疲れた様子で事務所に戻ってきた遥を見つけ、席から立ち上がる静。
「おかえりなさい、伊勢原さん」
「ただいま!」
遥は満面の笑みを浮かべて、静に伝票の束を渡した。
静も笑顔でそれを受け取る。
「お父さんがもんてきたんがほんなに嬉しいんか?」
冗談めかして遥が言うと、静は少し頬を赤らめた。
「伊勢原さん、ほんな年ちゃうやないですか」
「ほんな年やぞ、もうかき揚げうどんがキツイもん」
寂しそうに遥が言った。
静が童顔なせいもあって、遥と静が並ぶと親子にしか見えなかった。
「僕と20しか違わんのに」
不満げに静が言った。
「20もやろ、正確には23。親子やん」
そう言うと遥は、見るからに不機嫌になった静の頭をなでた。