伽藍とバザール
Eric S. Raymond,"The Cathedral and the Bazaar"(山形浩生 訳『伽藍とバザール』)
http://cruel.org/freeware/cathedral.html
この論文では、「オープンソース」という言葉をつくったエリック・レイモンドによって、なぜLinux型の開発プロセスが従来のソフトウェア開発プロセスよりも優れていたのかについて論じられている。
インターネットが普及する以前には、あたかも「大聖堂(伽藍)」のような建築物を設計するように、あらかじめ設計図を取り決めて分業を行ってソフトウェア開発を行っていた。しかし、リーナス・トーヴァルズらのLinuxの開発スタイルは、「はやめにしょっちゅうリリース、任せられるものはなんでも任して、乱交まがいになんでもオープンにする」とレイモンドが表現するように、むしろ自由に商人が賑やかに、乱雑に取引する「バザール」のメタファーで表されるものであった。この方式によって、多様なアイデアの交換や触発や、ユーザーを共同開発者として巻き込むことで、バグチェックを効率化できると論じた。
またNetscape社が、MicroSoft社のWWWブラウザであるInternet Explorerとの競争のためにオープンソース化した際、この論文がきっかけとなったと語られる。(伽藍とバザール内での言及)このように「バザール型開発」はオープンソース型のソフトウェア開発を象徴的に表す概念である。
(isedキーワード「優しい独裁」もあわせて参照のこと。)