『実存からの冒険』
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目次
はじめに ー思いに「かたち」を与えること
第一章 真理批判と〈生の肯定〉 ー ニーチェ
序章
1 キリスト教的道徳はなぜよくないのか
2 〈力への意志〉という見方
3 〈ルサンチマン〉と〈畜群本能〉
4 ニヒリズムと価値転換
5 超人と永遠回帰
6 ニーチェ思想のまとめ
第二章 可能性の了解 ー ハイデガー
1 現象学から存在論へ
2 実存の基本構造
(1) 実存と可能性の概念
(2) 世界とは何か
(3) 開示性について
3 本来性と非本来性
(1) 日常的な実存(非本来性)
(2) 死を了解すること(本来性)
第三章 現象学=実存論とは何か
1 〈ポスト・モダン〉、ヘーゲル、実存論
(1) ポスト・モダン思想とは何だったか
(2) ヘーゲルと自己意識の欲望について
2 実存からの冒険
(1) ニーチェとハイデガーから
(2) 〈自己了解〉について
抜き書き
かなり脱線したけれど、ニーチェの永遠回帰の思想が伝えたいことは、つぎのことに尽きる。〈ルサンチマンにかまけてないで、いま自分としてどうできるかを考えること〉。そのために必要なのは、自分の心を確かめる作業だ。自分が求めていること、自分が苦しんでいること、それはなんなのか。人間って、けっこう自分の気持ちがわからないままに、怒ってみたりぐずぐず落ち込んでいたりするんだよね。自分の心に対して正直で、敏感であろうとすること。ちょっとかっこよくいうと、自分の欲望の声を聴き取ろうとすること。これができるかどうか。ここが大事なのだ。
p.89
恨みそうになったり元気がなくなったりしたときに、自分の心を確かめて、つぎにどうやれるか。ニーチェがみんなに伝えたかったのは、そういうことなのだ。
p.89
そういう事実を認めてはじめて、「自分としては何ができるか」と問うことができる。〈そのつどの自分の状況において何ができるのか、何を自分は欲するのか、と問いつつ、それに従って生きること。深い納得において生きようとすること(「生の肯定」)〉、これがニーチェの解答であった。ニーチェはそういう生き方を導くために「永遠回帰」というお話を創ったのだった。
彼はこの生き方を「運命愛」とも読んでいる。これは、現在の状況をたんにそのまま受け入れろ、ということではなく、現在の状況のなかでなし得ることをやり、その結果を引き受けていくしかない、ということを意味するものなのである。
しかしニーチェはそこからさらに、〈そうやって生を肯定し進んでいく人間どうしが、その姿を見て互いに励まし合うという可能性〉を信じようとした。各人の生は冒険であり実験である。冒険し合う者どうしの間に信頼や共感が生まれること。そういう意味での共同性を彼は求めたのだった。
『実存からの冒険』
p.232
しかしそのためには、コミュニケーションが必要なのである。「君はこうやっているんだね、僕はこうやってみたよ」、といい合い、伝え合うことがなくてはならない。ぼくも、そういう実験し合う共同性を求めたい。これは、「実存からの冒険」を導くひとつのイメージである。 『実存からの冒険』
p.233
生きることをモデルケースとみなす
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