トトロと訳せない台詞
子供アニメのDVDを見ながら、英語字幕を出して見ていたことがあった。 まず、「『さーつきちゃーん』だって」という、それ以上意味を移し替えられない台詞がある。たぶんあれは、「学校では(友達からは)そんな呼ばれ方してるんだー」という感想なんだと思うけど(別解として、「ほら、呼ばれてるよ」と促してあげてる説もありえるけど)、そこを設定(キャラクターの名前など)を変えずに別言語に落とし込むのは、台詞だけでは難しい。活字の本だったら(“訳者註”とでも書いて説明を割り込ませることもできなくはないけど。 さらに、「メイのばか! もう知らない!」「お姉ちゃんのバぁカああー!」
という台詞も、その言葉の表層とその背景に想定される心情を同時に伝えることがすごく難しいはずなんだよね。 伝達を深くしようとするなら、「メイのばか」は、いったん「メイの頑固者」とか「我がまま」とか「わからずや」という言葉に置き換えてから翻訳することを考えてみてもいいし、
「お姉ちゃんのバカ」という台詞を、「私の感情を認めてよー!」とかに置き換えて翻訳……、したら、未就学児らしくはなくなってしまうか。
確かあそこは「I'm not stupid.」と字幕が付いていたのだ。
「もう知らない」とかも相当訳せない。
舞台に西洋っぽさがあるおかげなのか、あるいは「社会に出ていく」というテーマが持つ、必然的な「低コンテクスト」さがもたらすものなのかもしれない。