📝Media archaeology
https://en.wikipedia.org/wiki/Media_archaeology
Jussi Parikka ユッシパリッカ
メディア考古学とは何か
フーコーやベンヤミンの考古学的視点からキットラーのメディア考古学に至りその上で、新旧メディアの中間地点からオルタナティブなメディア論へ照射する
近代性/映画/現在性/オルタナティブ
歴史の中の循環に注目することは、新しいものの覇権を批判するためのひとつの戦略である
ツィーリンスキー
新しさに対する強迫観念を現在の資本主義における「メディア精神病」と呼ぶものに結びつける
芸術とメディア環境の異質性を促進する→変異学的視点
メディア考古学を地質学的時間に呼応させることで、聴覚や視覚などの五感と同じレベルの様式一般の研究へと発展させた
単純な進歩史観的な支配的、単線的な思考法を離れ、オルタナティブな開かれた時間性を求める
古生物学的時間
時間制の再設定によりダイナミックで現在のあらゆる瞬間との緊張状態を作ることで、異質なものを考える。
藤幡正樹など
純然たる起源が存在することを避ける→系譜学
📝attraction
注意を惹きつける動画
第1章 映画論
認識論的切断
映像を複雑な装置であり、思考のための道具箱として考える
文化的なエピステーメをメディア技術を通して見ることができる
第2章 感覚のメディア考古学
メディアを理解する方法としての情動
身体の感覚と運動として即物的に分析することと、身体と規律との関係→生政治的なメディアとの身体の関係性についてを分析するふたつの方向からメディア考古学はアプローチできる
前意識的、UXを考えることにも近しい
クレーリー「感覚の技術性」感覚が生じるものと技術的なものとの結びつき、それが生じる技術の集合体から引き離すことが出来ない
観察者、社会的、技術的制度との関係(表彰のモデルではなく、知と権力との関係性)を暴く光学装置
熱心な消費者(エンタメの観客)はスクリーン上の出来事に注意を払う、ゆえに感覚的である
大して科学者やマーケターはスクリーン上の効果が視聴者の行動や感覚的反応に興味を示す
情動・神経マーケティング→現代的な手法
クレーリーの目的はメディア技術的な視点からフーコーやドゥルーズを再分析することにある
自己受容性感覚との関係でメディアを考えることが、メディア考古学的の新たな視座をもたらす可能性
上記からメディア考古学は1980年台のニューフィルムヒストリーをルーツとし、視覚文化とアトラクションのメディア産業の結びつきを描き出すことを重視し、その後の映画に関する研究を経て、新たなソフトウェア文化の考古学が要求するのは以下2点
1メディア横断的な関係の中で、メディアが感覚の条件として形成されるような系譜学
2より技術的な意味でのメディア考古学、すなわちソフトハード、ネットワーク機械の作動に組み込まれた状況を明確にするため、スクリーンを掘る。ソフトウェアの歴史的観点のみならず、人の注意を惹きつける生理学的観点と生政治的観点、あるいは人間と非人間との関係を枠付ける物として機能すること、こうしたダブルバインドを理解する手立てを詳らかに説明すること。
第3章 想像上のメディア 奇妙なオブジェクトを捉えること
ゼンクミュラー「パラレルイメージ」後述のこと
資本主義的性質により葬られたあり得たメディアの別な形とそれらの形態との人間との関係性についてを問いただす。
ライプニッツようなあらゆる可能世界の中から選ばれた最も優れた選択肢ではないとすれば、それらは上記の特徴、とりわけマーケティングによってメディア文化を同質な型に押し込め「メディア精神病」へと変えてしまう恐れがある
想像上のメディアは、そうした見えないメディア化しつつある現代のメディアを考えるうえでほとんど大差がなくなっている、叶えられなそうな欲望を希求され続けるメディアのあり方としても重なる部分がある。
そうしたメディアのあり方を想像することは翻って私たちとの関係性を詳らかにすることにもまた近い
想像上のメディアのラカン的な解釈、大文字のAやら欠如やらとまあいうことはできるだろうが。。。
ジェフェリースコンス『憑依メディア』(haunted media)
メディアの持つ幽霊・憑依などにまつわる文化との特徴や構造の類似を指摘する
詳しいことは後述のこと
脱身体化、幽体離脱、電子的移動、テレポーテーション、メディア技術の擬人化→という特徴
そうした特徴が霊性やオカルティズム、エイリアンなどの不可視性といった19世紀以来の非人間的アクターや文化と結びつく
シュレーバー「ある神経病者の回想録」的な症例は技術メディア時代特有のパラノであった
今の外側の記録してしまうメディア
曖昧な言葉や間違い、ためらい、恥じらい、ため息、唸り声といったノイズが可聴化される
こうした近代の奇妙な身体性と歪なものとの結びつきは幻覚などではなく、ディスコースネットワーク(キットラー)の物質的論理の一部だった
ある意味純粋にフロイト的な方法論にも思える
我々の思うよりも物質的な干渉なしに身体性を感じさせるものは当時驚愕するべき技術
技術メディアは不滅の声を生み出す、人間や動物の声や像といった断片を再生する
ルーセル「ロクスソルス」ジョルジュダントンの首
第4章 メディア理論とニューマテリアリズム
キットラーの書き込みシステム18001900はメディアの考古学的、系譜学的理解を数理的かつ文学や芸術にも依拠しつつ整理する
ハード(ウェア)理論
エルンスト「非単線的なメディア」→再帰的な特徴
セイレーン、神話的回帰
キットラーのディスコースネットワークは文学を観念的なものではなくメディアの知や権力を探る非常に物質的なものとみなした上で、技術と制度のシステマティックな関係を浮き彫りにするためのもの
フーコー的な観点からハード、ソフト関わらずそれに付随する要素を分析することに等しい
物質的な身体の考古学
以上より筆記具と紙を用いた文章作成だろうが、筆やイーゼル、キャンパスを使う絵画などのプリミティブな形式に関わらずそこには身体制御と様式、制度化された関係を暴く技術的なもの
サピアウォーフ的
こうした特徴は必然的に人間工学といった学問へ引き継がれ、コンピュータへと繋がり、インターフェースデザインやそれに関連する計算機科学といった諸分野へと至る
ダグラスエンゲルバートやサザランド、リックライダー、アランケイ、あるいはもっと広範にパロアルトやMITなどにも
HCI
ピアスによると現代のゲームなどは科学や戦争、身体管理といった技術と切り離せない
メディアへの理解は消費されている内容ではなく形式や構造といった部分と、科学や軍事の文脈からも見るべき
フェーズ1。アメリカの南北戦争以降、聴覚・視覚・文字の保存技術が発達したこと。蓄音機と映画、そして人間-機械システムであるタイプライターのことだ。フェーズ2。第一次世界大戦以降、各々の保存内容のために適切な電気的な伝送技術が発達したこと。ラジオやテレビ、そしてそれらの双子のようなマイナーな諸技術のことだ。フェーズ3。第二次世界大戦以降、タイプライターのブロック回路図を計算可能性を司る技術へと発展させたこと。この技術は、1936年にアランチューリングが計算可能性に数学的な定義を与えたことで、のちにコンピュータと呼ばれるようになる。
意味論ではなく信号処理を重視する
UX的視点
数学的メディア存在論
ジーゲルとはポストと手紙と配達といった郵便局の社会的システムという点からメディアを捉える
郵送できるもののみが存在している
コンピュータの低階層に至っては我々には読めない機械語で記述されており、そこにはシニフィエしか存在しない
ノイマン型アーキテクチャ以来の基礎構造から分析する必要性
タイムクリティカリティ
視覚的、文字的、音響的諸現象についてコンピュータがもたらすのは本質的数学に基づく
新しいメディア研究
以上の要素をキットラーの影響から始まる現代のメディア考古学的特徴とする
メディア考古学的はメディアムスペシフィティの中で理解される必要がある
第6章アーカイブの動態性
マノヴィッチ
データベースは現実を組織化し表現する主要な形式
ナラティブではなくデータベースという構造的集合体、アルシーブからこそ新たな現実を生み出す
デジタルアーカイブはデータの普遍性に特徴があるのではなく、いずれにしてもハードウェアに陳腐化が起きることが想定される以上は再アーカイブされ続ける必要がある、という動的なアーカイブ性こそがデジタルの特徴であるとする
単なる記録貯蔵庫ではなく、デジタル化によって収蔵品やその情報の流れを結びつける(logical interlinking)を待つようになる
維持ではなく伝達
パイクの作品群のようにタイムクリティカルな作品を再考せざるを得ない
エルンストにとって時間とは以前の静態的なアーカイブが有していたマクロ時間(記念碑的)な集積ではなく、変化や変調をも取り入れた動態性のあるアーカイブはマクロ時間を取り込む。つまりプロジェクトベースの細かいやりとりや差異までも取り込むことができる
ここで議論された内容は実は特に目新しいものではなくランダムアクセス性のコンピュータそのものの特徴であり、デジタルネイティブとしては特に目を見張るような視点では実際のところなかったりもする
それは我々には非意味的層のデータとして受け取るものもコンピュータには物理的な痕跡として理解するため、デジタルアーカイブは現象学的な印象的なアプローチではなく数学的なツールを利用した技術的認識論的な構成に関わることになる
マノヴィッチのカルチュラルアナリティクスや、アランリュウのプロジェクト、コンピュータフォレンジックなど
メディア地質学
📝 circuit bending
📝dust
📝Atari video game burial
#Media_archaeology