成冨ミヲリ『絵はすぐに上手くならない』
副題「デッサン・トレーニングの思考法」
デッサンをしていない人も他のトレーニングをしている
絵のうまさには2種類ある
技術的にうまい
物の形を知っている
形は覚えるもの
体に入れるもの
絵が描けないとは
目→脳→手のどこか、またはそれらを繋いでいる部分に問題がある
感覚や感性は習得できない
自分で自分を見つめて原石を発見し、伸ばさなければならない
自分のセンスは信じて育てるしかない
自分の個性が分からないなら、人と比べるしかない
技術的なことなら練習すればよい
感性は誰でも持っているので、それを自覚し技術で形にする
自信は人との関係で生まれる
褒められたり指摘されたりを繰り返してしてつく
「自分はうまい」というものではなく、それなりの良さ、こんな自分の絵でも好きと言ってくれる人がいるという、じんわりとした自信
感想
アカデミックな絵画技法を通過してゲーム制作などの現場も経験している著者によるバランスのとれた内容
絵を描く能力を8つに分類しているのが分かりやすい
あらゆる学習に応用できる
プログラミングができることとプログラムを使って何かを作れることの違いなど
どこに時間がかかり、どこを効率的に進められるか
目指す方向と全体像
美術予備校の先生が言っていたような話が論理的に説明されていてとても良い
本人が作る人で、厳しい訓練と選抜をくぐり抜けてきたことがよく分かる言葉選び
スポーツ選手の身体感覚に近い
ここまで膨大かつ細かい部分まで気にして描いてるのだなぁという驚きがある
それを言葉にできる解像度の高さ
能力別、弱点別のトレーニング早見表が便利
センスとは何か、後天的に得られるものは何か、自分のやりたいことに合わせてどのように学ぶのが効率的かなど、多様なケースが挙げられている