枝番号
ポイント
例えば、独禁法の15条の2や15条の3は15条と対等の条です。15条の子分ではありません。もし16条に「前条」と書いてあったら、15条でなく15条の3を指します。
https://youtu.be/2qXrhujQGsE
法令を改正し、例えば15条と16条の間に新たな条を加えたい場合、16条以下を動かさないための方式として、新たに加える条を「15条の2」とするのが枝番号です。
動かしても大きな支障がない場合には、16条を17条に改め(17条以下があるときには順次繰下げ)、新たに加える条を16条とします。枝番号が発生しません。
このように、枝番号が付いているのは、後ろの条の番号を動かさないための便法に過ぎないのであって、15条の2が15条の子分であるためではありません。15条の2は1つの独立の条であり、15条と対等です。
「前条」などの表現においても、枝番号の条は1つの独立・対等の条として扱われます。
次の例の「前条」は7条の2を指します。(「同条」については後記)
第七条の三 前条第一項の規定により課徴金の納付を命ずる場合において、当該事業者が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、同項(同条第二項において読み替えて適用する場合を含む。)中「合算額」とあるのは、「合算額に一・五を乗じて得た額」とする。ただし、当該事業者が、第三項の規定の適用を受ける者であるときは、この限りでない。
〔略〕
次の例の「前二条」は7条の2及び7条の3を指します。
第七条の四 〔略〕
② 第七条の二第一項の場合において、公正取引委員会は、当該事業者が第一号及び第五号に該当する者であるときは減算前課徴金額(前二条の規定により計算した課徴金の額をいう。以下この条及び次条において同じ。)に百分の二十を乗じて得た額を、第二号及び第五号又は第三号及び第五号に該当する者であるときは減算前課徴金額に百分の十を乗じて得た額を、第四号及び第五号に該当する者であるときは減算前課徴金額に百分の五を乗じて得た額を、それぞれ当該減算前課徴金額から減額するものとする。
〔略〕
枝番号の付いた条が繰り返し出てきて、省略したいときは、単に「同条」とします。枝番号の付いたものも条であるからです。
例:上記の7条の3第1項中の「同条」は7条の2を指します。
章の冒頭に新たな条を枝番号で加えるということもあります。
第二章 私的独占及び不当な取引制限
第二条の二 この章において「市場占有率」とは、一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の数量のうち一若しくは二以上の事業者が供給し、若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の数量の占める割合又は一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の価額のうち一若しくは二以上の事業者が供給し、若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の価額の占める割合をいう。
〔略〕
枝番号が付いても独立・対等の条なので、例えば、「20条の2〜6」という表記はよろしくなく、「20条の2〜20条の6」と書いたほうがよい、ということになります。
枝番号は、条だけでなく、号でも用いられます。また、章や節にも用いられます。
項に用いられることはありません。項は、条の中の段落に過ぎないという扱いであり、その意味では号より軽い扱いのようです。間に新たな項(段落)が加えられたら常に項番号の改正となります。
号の枝番号の例
〔略〕
三百九十二 民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)
三百九十二の二 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年法律第百一号)
三百九十三 健康増進法(平成十四年法律第百三号)
三百九十四 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)
三百九十五 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)
〔略〕
章の枝番号の例
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 私的独占及び不当な取引制限(第二条の二―第七条の九)
第三章 事業者団体(第八条―第八条の三)
第三章の二 独占的状態(第八条の四)
第四章 株式の保有、役員の兼任、合併、分割、株式移転及び事業の譲受け
〔略〕
(枝の枝は取り敢えず略)