選択肢
選択肢を作り続けることが重要
選択肢と認知の関わり
人は負けると選択肢を探すプレッシャーを感じるが、勝っていると思うと選択肢を探すことを止め、思考停止する。 1つのうまい方法がみつかると人はそれ以上探すことをやめる
選択肢は常に消費されている
勝ち馬に乗る
乗った気になって、とりうる選択肢が減っている
負け馬に乗る
狼狽し、次の選択肢を探す意思を挫く
いずれ必ず大ゴケする
一九九五年、スティーブ・ジョブズが株式公開の話を持ちかけてきた。売れない映画も必ず出てくるから、そのときのために財務的な備えが必要というのが理由の一つだった。上場すれば独自のプロジェクトを進める資金ができ、会社として方向性を打ち出しやすくなるが、それだけでなく、失敗したときのバッファとして会社の存続に役立つのだと。ピクサーの存続が一本一本の映画の成績に依存するのはよくない、というのがスティーブの見方だった。
私は彼のその論法を聞いて衝撃を受けた。いずれ必ず大ゴケする。それもいつ、どんなかたちでそうなるかわからない。だから、未知の問題、隠れた問題に対して準備をする必要がある。私はその日から、可能な限り隠れた問題を明るみに出そうと決意した。だがそれには、生半可でない自己評価の覚悟が要求される。資金のクッションができれば失敗からも立ち直れる。それを確保しようというスティーブの意見は正しい。けれども、私が目指していたのは、緊張感を保つこと、いつどのように出現するかはわからないが、つねに失敗の兆候に目を光らせることだった。