違和感と異和感
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「違」には同質のものの間の微妙なちがいがある。「内側」に属するもののちがいである。これに対し「異」という文字には内と外の間にあるような帰属のちがいのニュアンスがあると考えていた。等質のものの間の量の違いではなく、質のちがいが決定的であるということであった。
「違」は内部の主観、気持ちにとどまるもので、「和」を前提としている。しかし「異」は外部性を表すのだから、「和」との組みあわせはもともと水と油のようなもので、だからこそ他者との関係が際立ってくる。
違和(wrongness)とは、あくまで主観的なもの。自分が何かの対象に感じる齟齬、うもいわれぬ心地悪さ、無意識な嫌悪の感覚など。ただし主観的な違和感だけでは「他」をはっきり見ることができないため、「他」との距離感が掴めない。
違和感とは、ギャップがあるという居心地の悪い感覚。
異和(gap)とは、違和を客体化したようなもの。違和感を覚える状況や対象を相対化し、俯瞰的な視点を取ることで「自」と「他」の間の感覚を掴むことができる。そのため、どうすればその距離を埋められるか、具体的な方法論が把握できるようになる。
違和感とは、ギャップがどれくらいあるかをとらえる感覚。
出典