説明の構想を練る
説明の尺度
説明に関する問題を解決するためには、次に紹介する「説明の尺度」という簡単なモデルで構想を立てればいい。聞き手をビジュアライズ化し、そのニーズを明らかにして、周到に練られた説明を用いながら聞き手の誤解を理解へと変えるためのモデルだ。
単にアルファベットの「A」から「Z」までほ連続して並べたモデルだが、どのように説明すか、構想をまとめるうえでの案内役となる。これは聞き手をある地点から別の地点に移動させたいときに、簡単に使える方法だ。
「説明の尺度」は、最も理解度が低い状態を「A」、最も深く理解している状態を「Z」としている。
・説明をどこから始めるべきか、どうすればわかってもらえるのか?
・「A」から「Z」までの人を、どうすれば満足させられるのか?
・説明を成功させるためには、どんなアイデアや作戦が有効か?
・どうすれば、多くの人の理解度を「Z」地点に近づけられるのか?
・ある考えを説明するとき、自分は「A」から「Z」のどこに位置するのか?
・聞き手はどこに位置するのか?
・聞き手の理解度について、どのような想定をしているか?
・現在の説明は、「A」から「Z」まですべての人を対象にしているか?
・現在の説明を、「A」から「Zまでのすべての人を対象にすべきか?
以上の質問が重要なのは、コミュニケーションにおける最大の問題を浮き彫りにするからだ。つまり僕たちは、ほかの人のもつ知識について想定することが不得意であり、そのせいで説明の可能性を狭めている、ということだ。説明の尺度を用いれば、自分の説明について考えを巡られ、徹底的に話し合い、構想をまとめることができるようになる。