複雑系
・多くの要素がお互いに作用している
・非線形に作用し合っており、小さな変化が大きな変かをもたらす
・システム全体が動的である
・後から考えてみると、何らかの秩序があり、予測可能にも思える。ところが、システムやシステムに影響を与える外部も変化し続けている。後知恵の発見から先見は得られない。
出典
Harvard Business Review 2008.3
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複雑系
ほとんどの自然現象や人工現象は直線的な因果関係で捉えられるほど単純なシステムではない。個々の要素がどのような性質を持っているかが分かっていても、その相互作用がシステム全体にどのような結果をもたらすのかを予測することは難しい。こうしたシステムを複雑システムと呼ぶ。
教育に関わる複雑システムの研究には2つのテーマがある
1.認知的挑戦
2.教授学的研究
認知的挑戦
複雑システムの概念を学習者がどのように理解しているかを明らかにする
人は中央集権的な制御、決定論的な因果関係を想定した説明を好む傾向があるため、創発や自己組織化、確率的で脱中心的なプロセスを用いた現象の表現に根深い抵抗を示す
複雑システムを要素に分解して個々の要素の働きを分析することでは、システム全体の創発現象を明らかにできない。シミュレートする手段がないという、原因帰属の困難性がある。
複雑システムについて、学習者が正確な理解を獲得する、創発訓練 ミクロレベルの構成要素に分解
創発現象を生成する、要素の非初と相互作用のルールを見つける
このミクロとマクロを頻繁に行き来する(創発訓練)ことで、より正確な複雑システム概念を獲得できる。
教育における複雑系
概念リスト
エージェント・ベースのモデリング
ダイナミカルアトラクタ
決定的カオス
システム環境相互作用
適応度地形
大学でも複雑系を学ぶ機会は少ない。初等、中等教育では皆無。
複雑系と学習:文献レビュー
複雑系についての思考に関連する中核的なアイディアの多くは、学習者にとっては学習することが非常に難しい。科学のコースにおいて現在教えられている複雑系の理解に関わる概念を学習する際に、学習者が経験するさまざまな困難性が多くの研究によって指摘されてきた。
複雑系の理解に関わる誤概念
化学反応は均衡化によって停止する
真価は機能の利用や不利用によって生じており、獲得された機能は次の世代へと受け継がれる
ある行為のサイズと、それに対応する効果の間には線形的な関係性があると信じている
ところが複雑系では、小さな行為が大きな影響を及ぼすシステムの相互作用と増幅を持っている
複雑システムを学んだ人 (確率的かつ脱中心的で自己組織的なマインドセット)
創発的、自己組織化、確率的で脱中心的なプロセスの語彙ネットワークを用いる。
構成要素の脱中心的な相互作用の部分としてシステムの制御が創発するという考えを用いて問題を解決する。
複雑システムを学んでいない人(決定論的で中央集権的なマインドセット)
機械論的で、中央集権的な制御と、その制御から予想される行為の語彙ネットワークを用いて、解決しようとする。
渡り鳥のルール
直接因果と創発因果
普及、浸透、自然淘汰は直接因果ではなく創発因果の理解が必要。子どもたちがもつ直接因果の枠組みとは相いれない。たとえ学んだとしても、その知識は不安定で、新しい状況では用いられにくい。 出典