組織の階層
組織に階層構造は必要だけど、なぜか人に役職と権限を付与するやりかたで階層構造を作ってしまう問題。
階層は悪ではなく、むしろ効果的に働くための重要な仕組み。複雑なことを成し遂げるための自然の方法(nature)でもある。
たとえば人の生命組織は階層構造になっている。細胞は細胞膜に覆われることで細胞内外を境界とした階層がある。もし細胞膜といった境界がなければ、人のような大きさの単細胞生物の組立は不可能に近くなる。適切な複雑さに切り分けて分裂、組立することで、哺乳類のような複雑なことが実現できるようになった。
ただし有機体の階層は、完全ツリー構造ではなく、準分解可能な階層である。
この準分解性という概念は近年になっていくつかの分野で活用されるようになってきている。たとえば学習科学では有機的な学習に向けて、この準分解可能に学習施策を組み立てている。
細胞は効果的にコミュニケーションしている。細胞内の要素同士は密にコミュニケーションし、細胞同士は比較的ゆるやかなコミュニケーションをしている。
細胞が集まって器官となった場合にも同じ現象が起きている。器官内の各要素同士は密にコミュニケーションし、他の器官とは比較的揺るかや名コミュニケーションをしている。
グラノヴェッターの弱い繋がりと強い繋がりと類似性がある。つまり細胞の社会ネットワーク。
人の組織に当てはめるとどうなるか。個人に意思決定権限を付与するという既存の階層性ではない姿として、チームに意思決定権限を持たせるという考え方ができる。
人の細胞も単一の細胞が意思決定しているわけではなく、複数の細胞や器官の連携によって意思決定している。ある目的を達成するために準分解された機能チームがそれぞれ意思決定する。