状況主導型発話と意図主導型発話
状況主導型発話
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状況主導型発話は状況に支配され、状況に囲い子回れたそのときの心理構造が、直接、言葉を生成する点が共通である。言葉の生成にあまり思考が関与しないため、表現は単純である。ただ、選択肢は残されているため、相手との関係およびそのときの心理状態によって、表現系は変化しうる。同意の「そうですね」は、「はい」になることも、「うん」になることも、「ええ」になることもある。表現系は十分に表現しうるが、そのときの心理状態から発話への流れは直接的で、途中で発話内容が点検されることはない。筆者も「思わす言葉が出てしまった」「考える前に口が動いていた」という経験を繰り返しているが、これは状況主導型発話の特徴である。
意図主導型発話(目標語探索型発話)
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通常発話の大部分は、思考の母体に生成される。自律的な思考が言語生成を支配する。具体的状況にはめ込まれた心理的枠組みがそのまま言語を駆動するのではなく、状況から独立した自己の自律的な意思が言語を生成する。状況から独立するということは、言語表現が客観性を持つということでもある。状況を有しているのであれば、「あの、あれ」でも通じるが、状況を共有していない聞き手に自己の思考を伝達しようとすれば、このような指示代名詞ではだめで、客観的、具体的な語彙を選んで用いなければならない。このような発話が筆者の理解する意図主導型発話であ。
失語症では意図主導型発話の障害が強くでる。状況主導型発話の発話は保たれやすい。
状況主導型発話の多くは慣用表現を用いて実現される。一方、意図主導型発話は慣用表現だけでは成り立たない。多くの場合、今ここにないことを表現しようとするわけだから、語彙を選び、センテンスを作らなければならない。失語症では慣用表現は使えることが多いが、こうしたいわば「創造的言語生成」は困難になる。
発話の最終段階
言語生成には思考から音韻生成にいたる水準と、音韻を実際の運動に変換し、音声化する段階がある。前者は後述のVigotskyなどより広い意味での内言語(あるいは言語性心理表象)段階であり、後者は外言語化段階である。
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出典