物語
時系列順に様々な要素を展開し、要素同士の相互作用を通して、特定のコンテキストを生じさせる情報の集合
人間は出来事の因果を理解するために、自然と物語を作る。だから私たちの身の回りには、これほど物語があふれているのだ。一九四〇年代に、フリッツ・ハイダーとマリアンヌ・ジンメルが行った社会心理学の古典的研究がある( 10)。被験者に、画面上を円が一つ、三角形が二つ動き回るシンプルなアニメーションフィルムを見せる。それだけだ。音もなく、字幕もない。ときどき二つの図形が近づいたり、一つの図形がもう一つを追いかけたり、図形同士がケンカをしたりしているような場面がある。すると被験者は、そこに円や三角形以上のものを読み取る。それをロマンチックなドラマのように解釈するのだ。人間はあらゆるところに物語を見出す。
優れた物語は、単に何が起きたかを描写するだけではない。起きていないこと、少なくともまだ起きていないことにもからめて、世の中がどのような仕組みになっているのかを伝える。
https://youtu.be/wp8ebj_yRI4
Heider & Simmel (1944)