流暢な言葉、しどろもどろな言葉
他人の言葉を借りて話す
「他人の言葉を語る」
私が誰かから聞かされたこと」は、文章が最後までできあがっていますし、イントネーションや緩急のテンポや「ぐっと力を入れる聞かせどころ」も知られています。何より私自身が「それを聞いて納得させられた」という過去があるので、安心して他人に聞かせられます。
その反対に、純正オリジナル、出来たてほやほやの無垢の「私の意見」は、たいていの場合、同じ話がぐるぐる循環し、主語が途中から変わるような、「話している本人も、自分が何を言っているのかよく分かっていない」ような困った文章になります。こういう意見におとなくし耳を傾けてくれる聴衆はなかなかいません。
内田樹「寝ながら学べる構造主義 」
出典
国重浩一 ナラティブセラピーアドバンスコース