残心
残心(ざんしん)とは日本の武道および芸道において用いられる言葉。残身や残芯と書くこともある。文字通り解釈すると、心が途切れないという意味。意識すること、とくに技を終えた後、力を緩めたりくつろいでいながらも注意を払っている状態を示す。また技と同時に終わって忘れてしまうのではなく、余韻を残すといった日本の美学や禅と関連する概念でもある。
残心之事=心を残さず、全心をもって、敵を打つこと。
文字に書いてしまえば、ただこれだけのものだが、鉄舟の指導を受けた高野佐三郎は、残心について、「コップの水を思い切って捨てれば、底に幾分かの水が残る。それが残心だ」と語っている。残そうとして、残した者は、残心とはいわぬというものである。濁心なきただ一偏の心を持つこと、それが赫奕たる「離」の世界を知った者の一犠牲なのである。
赫奕(かくえき)