学習科学
Learning sciences
参考
学習科学の起源と展開
学習科学の新展開:学びの科学を実践学へ
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the cambridge handbook of the learning sciences
第三版2022/4
第二版2014/11 翻訳2016-17
第一版2005/4 翻訳2009
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https://gyazo.com/0add24bfc16230a3b1f83128671e68dfhttps://gyazo.com/b4bcad33bd5ba22639c83cf1311f7b46
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学習科学の目標 p.iii
学習科学は1990年代以降、認知科学、教育心理学、計算機科学、文化人類学、社会学、情報科学、神経科学、教育学、授業研究などの多様な学問分野を総合することによって急速に発展しつつある学際的科学である。すなわち学習科学が目指しているのは、学習と教育に関わる多様なアプローチを総合しも、科学的根拠に基づく教育改革を持続的に実践することである。
はじまりそのものは1970年代。1990年に米国学術研究会議にて公刊された。p2
1990年 米国学術研究会議 学習科学公刊内容
より深い概念的理解の重要性
教授に加えて学習にも焦点を当てること
学習環境を創造すること
学習者の既有知識に基づくことの重要性
振り返りの重要性
より深い概念的理解の重要性
知識労働者に対する科学的研究によって、熟達者の知識は事実と手続きを含んでいるが、単に知識を習得するだけでは知識労働者としてパフォーマンスを示す人材を育成することはできないことが明らかになった。
事実と手続きに関する知識は、それが適応可能な状況と、状況に応じて知識を修正する方法を知っている時にのみ役立つ。
ところが教授主義は、教室外では使用するのが困難な知識の習得を結果としてもたらすことになる。生徒がより深い概念的理解に到達する時には、現実世界に転移可能なように、より使いやすく、また深いやり方で事実や手続きを学ぶことになる。
教授に加えて学習にも焦点を当てること
生徒はよりよく教えられることで深い概念的理解に到達するわけではない。そうではなく、自分自身の学習に能動的に参加することで初めて学ぶのである。したがって新しい学びの科学では、教授技術だけではなく、生徒の学びの過程にも焦点を当てる。
学習環境を創造すること
学校の仕事は、生徒たちが熟達した大人のパフォーマンスを示すのに必要なあらゆる知識を学べるように支援することである。つまり、事実と手続きを教えるだけでなく、現実世界の問題について推論することを可能にするより深い概念的理解に到達するように支援することが重要である。そのため学習科学の研究では、生徒のより深い概念的理解を支援する学習環境の主要な特徴を指定してきた。
学習者の既有知識に基づくことの重要性
学習者は満たされるのを待っている空の器ではなく、自己を取りまく世界に関する先入観をもって教室にやってくる。それらのいくつかは基本的に正しいが、中には誤概念も含まれている。したがってねこどもたちにとって最良の学習方法は、自分達の既有知識の上に学びを構築することである。もし教授することが既有知識と噛み合わなければ、生徒は試験で合格点をとるのに必要な知識だけを学習し、試験が終わると、教室の外で学習したもとの誤概念に逆戻りしてしまうであろう。
誤概念vs学習の転移
素朴理論
素朴物理学
素朴数学
素朴生物学
振り返りの重要性
生徒たちは、自分達が構築しつつある知識を、会話を通して、あるいは論文、レポート、作品などを作成することによって表現し、また自分の知識の状態を思慮深く分析する機会を与えられることによって、よりよく学ぶことができる。
出典
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学習科学という領域の始まり
1970〜1980年代
多くの認知科学者はよりよい学習を促進する教育ソフトウェアをデザインするために人工知能テクノロジを用いた。
この間にArtifical Intelligence in Education(AIED)という学会が創設された。
1987年
ノースウェスタン大学がこの領域に参入することに決定した
後に学習科学研究所(Institute of the Learning Sciences:ILS)として知られるようになる研究所所長として、イェール大学ロジャー・シャンクを招聘した。 ジョン・シーリー・ブラウンとジェームス・グリーノが、ゼロックス社デイビット・カーンズと協同で学習研究所(Institute for Research on Learning)を設立した。
同時期
ヴァンダービルト大学の学習・テクノロジーセンターはICTに基づくカリキュラムを開発するために認知科学を応用しようとした。
MITのシーモア・パパートはLogoグループで、コンピューター上で構成主義的な学習環境を構築しようとした。
1989年
ロジャー・シャンク、アラン・コリンズ、アンドリュー・オートニーらによって、認知科学の学習への応用に焦点を当てた新しい学術雑誌の創刊について議論を始めた。
1991年
ジャネット・コロドナーを編著とするJournal of the Learning Sciencesの創刊号が刊行された。
AIEDの会議がILSで開催され、シャンクはInternational Conference of the Learning Sciences(ICLS)と位置づけた。
AIEDの研究者は人工知能技術を用いた教育ツールに関心があり、一方、学習科学研究者は実世界の学習環境での学習に関心があることが分かり、両者は袂を分かつこととなった。
1996年
第二回のICLSは1996年に開催され、それ以降2年おきに開催されている。
2002年
国際学習科学会(International Society of the Learning Sciences:ISLS)が設立された。