多義性
1980年代に加わった多義性
1980年代に入ると、組織の情報処理の課題としての不確実性への対処に加えて、多義性(equivocality)への対処も議論されるようになる。不確実性が情報量の不足を意味するのに対し、多義性は、ある状況なりメッセージが複数の意味を持つことであり、当事者間の相互理解の欠如を意味する。
ダフト(R.L.Daft)とレンゲル(R.H.Lengal)は、不確実削減と多義性削減の視角を統合することを試みた(Daft amd Lengel, 1986)
未邦訳
不確実性を削減するためには、組織は明確に定まった問題の解決に必要な情報を収集しなければならない。一方、多義性を削減するためには、当事者間で解決すべき問題を明確化し、それに向けて合意することが求められることになる
ガルブレイスの情報処理モデルは、通信の論の影響を受け、環境がもたらす情報処理負荷である不確実性と組織の情報処理能力との量的な適合を重視したが、情報処理負荷として多義性という意味的側面が着目されるにつれ、組織の情報処理は、組織の解釈や、認識、意味の創出するプロセスまで含むものに拡張されることになる。