制作秘話
「死ぬ!」と悶絶しながら描いた奇跡の15年…「ちはやふる」作者・末次由紀「4巻までと思っていたけど」
【グラブル】シナリオチームリーダー陣インタビュー。『グラブル』のシナリオの作りかたや四騎士誕生秘話などを語る
https://gyazo.com/7e73cdb4cfeb782ceb51cdc831702c55
https://gyazo.com/26e5b7cf3f0e1594cabce89d64b29c47
劇場版アニメ『AKIRA』のCGシーンをどのように制作したか説明します
Netflixで蘇った伝説の人形劇「ダーククリスタル:エイジ・オブ・レジスタンス」、その撮影の舞台裏
https://gyazo.com/7bb888cbda5575bf3fcea0d726022fc4
映像
高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。
本
アニメーション,折りにふれて
映画を作りながら考えたこと 「ホルス」から「ゴーシュ」まで
映画を作りながら考えたこと
映画を作りながら考えたこと〈2〉1991‐1999
映像
夢と狂気の王国
プロフェッショナル 仕事の流儀 特別編 映画監督 宮崎駿の仕事 「風立ちぬ」
プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル 宮崎駿の仕事
終わらない人 宮崎駿
「もののけ姫」はこうして生まれた。
レンタルできない
本
出発点―1979~1996
折り返し点―1997~2008
のむらしんぼさんの『コロコロ創刊伝説』では、『ゲームセンターあらし』のキャラ設定がネームの段階になっていましたが、これは実は間違っています。そんなナマやさしいものではありませんでした(笑)。
『ゲームセンターあらし』の依頼があったのは、1978年の秋。「コロコロコミック」の表紙校了日(入稿を確定させる日)でした。電話で「タイトルは『ゲームセンターあらし』と決まっているので、先に表紙に載せる主人公の顔だけ作ってほしい。これからバイトさんに原稿取りに行ってもらうので、それまでに5通りくらいのキャラクター案を作って渡してほしい。その中から編集部で選ぶので」と言われ、まずキャラクターだけ作りました。
キャラクターには注文があって、「すがやさんのマンガの主人公は、ハンサムないい子ちゃんばかりで、これでは子どもの共感を得られないん。もっと汚いキャラクターにしてほしい」とのこと。「ハンサムないい子ちゃん」とは、この直前に「コロコロコミック」に連載したSFマンガを指してのものでした。このマンガ『まぼろしの恐竜』など(画像)は、いま、Amazon Kindleで出ています(自分で編集しました)。
このときキャラ作りの参考にさせてもらったのが、たまたま手もとに置いてあった『釘師サブやん』と『包丁人味平』だったわけです。
翌日、「これに決まったから」と表紙の校了用紙(デザインしたもののコピー)を編集者(のむらさんのマンガに描かれているH山さん)が持ってきました。
画像は、そのとき編集部に渡したキャラデザインカットの一部で、こちらはバツがついているキャラをイチオシにして色をつけ、他のものは色をつけずに渡していました。そうしたところ編集部では、色をつけたキャラだと敏捷性が足りないように見えるとのことで、右のキャラを選び、表紙に載せました。色は、左の絵を参考に、デザイナーさんがカラー指定してくれたそうです。
この時点で決まっているのはタイトルと主人公の顔だけ。編集者は1万円札を出して、「これを100円硬貨に両替して、歌舞伎町に行ってゲームしましょう。今日は、この1万円を使いきるまでは帰しません」とのこと。それでアシスタントも連れて歌舞伎町に行き、ゲームセンターでゲームをプレイしまくりました。
でも、こんなときに限ってゲームが長持ちするんですね。1万円を使いきるのは大変でした。最後はコイン落としやピンボールにスマートボールまでやって、なんとか使い切りました。
そのあとアシスタントを先に帰して、編集者とストーリーの打ち合わせになりましたが、そこでつけられた条件が、「最後のクライマックスでは、ゲームをする主人公を空中で逆立ちっせてほしい」というものでした。
当時のゲームはテーブル型が多く、座ってプレイするものでしたので、「空中で逆立ちするなんて、リアリティがありません」と抵抗したのですが、H山さんに言われたのは、「すがやさんは、これまで『仮面ライダー』や『キカイダー』で、さんざん空中回転や逆立ちをさせてきたじゃないですか」という言葉。そういわれてみればそうでした。『仮面ライダー』や『キカイダー』などのコミカライズの仕事では、臆面もなく、恥じらいもなく、戦いのシーンでは主人公も敵も空中にジャンプして、派手なアクションを展開していました。
「そうか。『仮面ライダー』のつもりで描けばいいのか。ま、どうせ1回こっきりの読み切りだから、ま、いいか」と割り切り、ブロック崩しと戦う最後で、恥ずかしげもなく空中回転させました。
この1回目の読み切りは、アンケートの順位が悪く、連載には至りませんでした。かわりにスタートしたのが『F1キッド』というレースマンガでしたが、翌79年春に「ウルトラマン増刊号」が出ることになり、オマケの読み切りとして、また『ゲームセンターあらし』を描くことになりました。スペースインベーダーの人気が高まっていて、これを題材に読み切りを描いてほしいという依頼でした。
すでにゲームセンターへの小学生の入場が難しくなっていたこともあって、別の場所でゲームをさせたいということになり、そこで後楽園球場のジャンボトロンにスペースインベーダーを映して戦う案を出しました。大がかりで大げさなバトルは、『包丁人味平』の「ラーメン祭り」にヒントを得たものです。「ラーメン作り」の対決をイベントにしてしまうという発想は、当時、画期的なもので、テレビの『料理の鉄人』も明らかに影響を受けています。
「こういう実際にはありもしないイベントをさせることをSFの世界では〈疑似イベント〉というんです」と編集部で説明したら、編集長が感心したようにメモしてくれました。でも「疑似イベント」の本当の意味は、「テレビ中継されることを前提にした戦争」などのことで、似ているけれど、ちょっと違います。ちなみに湾岸戦争以降の戦争は、どれもテレビでライブ放送されるものになりました)。
ま、こんな編集者を煙に巻くようなことをして、今回も、どうせ1回こっきりだろうと思って描いたら、なんと、ダントツ1位の票を集め、本誌連載が決定してしまったのであります。楽しんで描いていた『F1キッド』とは2回ほどダブって掲載されましたが。