共感疲労
共感疲労 p244
『感情と看護』
まずこの本は、看護職がバーンアウト(燃え尽き)しやすいという話しから始まる。それは看護職がとりわけ感情管理を必要とする労働、すなわち感情労働だからである。救急医療の現場では自動操縦モードに入り、アドレナリンが出てくるのがわかる、と書かれているのは印象深い。迅速かつ的確な行動と判断が求められるそのような現場では、いちいち感情に押し流されている暇はない。生死に関わる重要な場面でも、性能のよいロボットに徹することによって乗り越えられる。しかし病棟で患者と接する場合には、感情をぶつけたくなるときもある。またよい看護師を演じなければならないというプレッシャーが、ペルソナのつけかえを促し、それがさらなる疲労をもたらす。看護師は「共感的理解」によって患者に向き合うことが求められるが、そのために相手の感情に巻き込まれ、共感疲労(compassion fatigue)になることもある。
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