プロダクトのヴェール
品質のヴェール
ザビエル・ギャベックスとデヴィッド・レイブソンは、売り手が買い手を手玉に取る別の方法を生み出している。この場合それが起こるのは、製品の一部の属性がなかなか見えないからだ。かれらの用語だと、そうした属性は「ヴェールに隠されている」。暗黙のうちにかれらはこう尋ねている:顧客にバスマティライス(高級米)と安手のライスとの区別がつかなければ、レストランが出すライスはどうなるだろうか? 利潤動機からして、レストランは安い方を選ぶということになる。
追加財のヴェール
ヴェールに隠された属性としてギャベックス&レイブソンが筆頭に挙げる例は、インクジェットプリンタをめぐるものだ。買い手はプリンタの価格に注目する。でもその後のインクカートリッジの費用は、プリンタの初期費用に比べてかなり大きい(平均で初期費用の3分の2くらいだ★9)。つまり関係する費用はプリンタの初期支出だけからくるものではない。ページを印刷する総費用が重要だ。HP社プリンタ機種の買い手を対象としたあるアンケート調査では、回答者のうちプリンタ購入時にインクの費用まで知っていたのはたった3パーセントだった。
これは決して偶然ではない。ギャベックス&レイブソンによれば、プリンタの買い手にとってその価格は単純明快だ。またこれはウェブでも調べやすい。でも必要なインクの価格を調べようとしたらどうだろう。この情報は複数のウェブサイトに分散している。プリンタメーカーは、意図的にこの属性をヴェールに隠したのだ。そしてアンケートの結果から見ると、かれらは成功している。