プリウス
内燃機関超基礎講座 | 魔法瓶を載せていた北米仕様のトヨタ・プリウス
初代プリウスはヒットしなかった
最初期の量産型のハイブリッド車であるため、走行性能(動力性能)はこの当時の総排気量1,000cc以下の小型車とほぼ同等であり、バッテリーの不具合を心配する人も多かったのか年間の販売台数は最大でも2万台を超えることはなく、モデル末期には1万台を割り込んでおり、2代目のような「大ヒット」や3代目のような「スマッシュヒット」は記録しなかったものの、ハイブリッド乗用車史の基礎を築き上げるには十分な販売実績を残した。
アメリカ合衆国においては、カリフォルニア州で州の厳しい規制をパスした当時唯一のガソリンエンジンの実用車としてプリウスが話題を呼び、環境問題に関心の高い富裕層が中心となって次々にプリウスを購入したことから、ハリウッド・スターなどのセレブリティも、環境問題に関心があることをアピールするためにこぞってプリウスを自家用車に選ぶ、という時期があった。アカデミー賞授賞式に、リムジンでなくプリウスで乗り付けるスターが増え、中でもレオナルド・ディカプリオは、7台ものプリウスを購入したといわれる。その後の、原油価格の高騰から人気が冷めず、最長で半年待ちとなるほど予約が殺到した。
しかしアメリカではガソリン価格の低落に伴って再び大型車や高級車が販売の中心となっており、加えて「ハイブリッドよりEVのほうがエコ」という風潮からEV専門メーカーのテスラ・モーターが台頭してきていることからプリウスは苦戦を強いられている。さらにプリウスの販売台数の多い地域では、ニッケル水素電池目当ての「車上荒し」のターゲットともなっている。
ディーゼルエンジンとマニュアルトランスミッション指向の強いヨーロッパにおいても、環境問題への関心の高まりから、イギリスなどを中心に高い評価を得ている。2007年のフランクフルトモーターショーをはじめ、大陸ヨーロッパでも積極的なプロモーションが始められた。2000年に発売されたヨーロッパでは、2007年8月までに約10万台のトヨタ・ハイブリッドが販売された。