ネガティブ1on1
「1on1」の導入の落とし穴
「陥りがちなのが、部下の異変を探るための機会が、単なる進捗管理に使われてしまうこと。部下は頻繁に仕事の状況を問い詰められる上、目の前の仕事に取り組む時間を奪われる。面談の回数の増加がかえって、部下の不満をためてしまう可能性がある」(山本教授)。既に自分の課題ややるべきことを自覚できている優秀な人材であれば、そうなる傾向はさらに強まるだろう。
ヤフーのように「1on1」を人材育成・定着に結び付けるには、面談をする上司へ「短い面談時間でいかに部下の心境を知り改善へ結び付けるか」などの研修が不可欠。いたずらに顔を突き合わせても意味がないというわけだ。
希望だけ訊いても無意味
異動希望調査
ある程度の規模の企業なら、定期的に社員の異動希望を聞いているはず。だが、伝えた希望が通るならともかく、聞き入れなければ、かえって離職願望を芽生えさせかねない。そして、そうなった際、有望人材ほど会社の外に受け皿がある分、行動に移す可能性が高い。
体験入部
サイボウズでは、社員が社内掲示板「Myキャリ」に「1年以内に異動したい」と書き込むと、直属の上司と人事担当者が直ちにミーティングを開くルールになっている。営業を担当していた別府氏がよりキャリアを高めたいと広報業務の兼務希望を入力したのは3月下旬。1週間後には広報部門への「体験入部」が決まり、3カ月間の体験を経て兼務が認められた。体験入部の実施件数は2年で約70件に上る。