シンボリック・アナリスト
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これらの人は1人か小さなチームで仕事をする。上役や監督とではなくパートナーと働くことが多い。彼らの年収は高く仕事環境は静か、これになるには4年学卒以上の教育を必要とする。シンボリック・ナリストの仕事は全体の職の20%をしめる。まだまだ増大する。
シンボリック・アナリストは必要となれば、コンピューターのキーをたたくだけで、すでに確立された知識体系を引きだすことができる。事実、データ、文書、公式、そして規則は容易に手に入る。価値があるのは、その知識をいかに有効かつ創造的に活かすかの能力である。
シンボリック・アナリストは、多くは一個人または少人数のチームで仕事をするが、世界的な組織網を持つ大きな機関と結びつく場合がある。チームワークはしばしば、非常に重要な役割を演じる。解決方法はおろか、問題自身も事前にわかっているわけではないから、なにげない私的な語らいのなかから有効な発見や洞察が生じ、それが最高に活用され、即座に決定的評価に結びつくことがあるのである。
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シンボリック・アナリスト
エンジニアがコンピュータにできる領域を広げていくに伴い、テクノロジーの発展は、複雑な問題解決やクリエイティブな思考など、高等教育を必要とするスキルが重宝される方向に一貫して進んでいった。相対的に単純な作業はコンピュータが肩代わりしてくれるからだ。ロバート・ライシュは一九九一年に発表した古典的著作『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』(邦訳東洋経済新報社)で労働市場の変遷を調べているが、ライシュによれば、職業は大きく三つのタイプに分けられる。今後有望とされるのが、ニューエコノミーの恩恵を受けるマネージャー、エンジニア、弁護士、科学者、ジャーナリスト、コンサルタントなどの知識労働者で、これをライシュはシンボリック・アナリストと呼んでいる(21)。こうした人々はコンピュータの時代に例外なく分析の生産性が高まった。残る二つのタイプが、定型職と対人サービスだ。すでに指摘したように、定型職はコンピュータへの移行が徐々に進んでいる。一方、対人サービスのほうは数が増えている。実際、大半のアメリカ人が働いているのは、ハイテク産業や高度な専門サービス業ではない。ソフトウェア会社、法律事務所、バイオテクノロジーのベンチャー企業などに直接雇われている人は、ごくわずかだ。それでも、こうした職業は多くの人々の生活を支えている。今日のハイテク企業は、第二次産業革命時の製造業に比べると、低スキル労働者を雇用する機会はすくないが、ハイテク企業に間接的に雇われている人は多い。というのも、ハイテク企業の社員は、低スキル労働者が提供するさまざまなサービスを買っているのだ。アメリカのシンボリック・アナリストは地元で買い物をし、ヘアスタイリスト、バーテンダー、ウエーター、タクシー運転手、店員の生活を支えている。こうした職種はバイオテクノロジーやソフトウェア開発とは違って、驚異的な技術発展は遂げていないかもしれないが、「大半のアメリカ人が働いているのは、こうした職場であり、そうした人々の運命は、海外に輸出できる財やサービスを売る労働者に、どこまで自分の時間を売れるかにかかっている(22)」。
定型職(ルーティーン)
対人サービス
ライシュによれば、これからのニューエコノミーで最も高い価値を生み出すのは、①シンボル・アナリティック・サービスに従事する者たち(シンボリック・アナリスト)です。これに属する具体的な業種・職種として、ライシュはコンサル・研究開発・広告業・マーケティング・金融業・IT関連・エンターテインメント業などを挙げていますが、これらの業務・業界では社会の流行を司る「象徴(シンボル)」を分析・操作し、そこから大きな利潤を生み出します。高い問題解決能力やセンスの鋭い象徴-分析能力、あるいは才能溢れる美的-創造能力などを持ったシンボリック・アナリストたちは、高い価値と利益を生み出しながら、その高付加価値な仕事のなかで個性を発揮し、「自己表現」あるいは「自己実現」を行なっていくことができる、とライシュは言います。