ものごとはそもそもシンプルである
大きく感じる問題には大きな解決策を!
複雑な問題には複雑な解法が必要だ!
現実をそう思ってしまう傾向があり、それこそが問題解決の障害となる。
明晰な思考に向けて
明晰な思考をするためには、シンプルに考えることが必要だ。ものごとは、そもそもシンプル、単純だという考え方を受け入れることが大切なんだ。単なる概念としてではなく、自分を取り巻く現実を観察する時の実用的な方法として受け入れないとダメなんだ
私たちは、ある事柄について、その存在の理由を求める時、たいていは一つだけでなく、二つ、三つと複数の答えを見つける。あるいは、複数の要素を含んだ答えを見つける。しかし、もし五歳の子供のように質問を続けていったら、どうなるだろう。どうして、どうしてと、答えのそのまた理由を求める。そんなふうに質問をどんどん続けていったら、疑問はますます増えていく。つまり、『なぜ』『どうして』を繰り返すと、ものごとはどんどん複雑になっていく そう直感的に、人は思うんだよ
ニュートンが言っているのは、その反対だ。ものごとは収束していくと言うんだ。深く掘り下げれば掘り下げるほど、共通の原因が現われてくる。十分深く掘り下げると、根底にはすべてに共通した少数の原因、根本的な原因しか存在していない。原因と結果の関係を通して、これらの根本的な原因がシステム全体を支配しているというんだ。つまり『どうして』『なぜ』を繰り返すことは、ものごとを複雑にするどころか、逆にすばらしくシンプルにしてくれると彼は言っているんだ
私が話をしているのは、自然界の話だけじゃない。原子や電子、分子、酵素といった物質世界の話だけじゃないんだ。私が話しているのは、この現実世界のすべてのことについてなんだよ。人はもちろんのこと、人が作り出すものすべてを含んでいる。ものごとは収束する、ものごとはシンプルだと言ったが、これは、この現実世界のすべてに当てはまることなんだ。現実というのは、すばらしいまでのシンプルさの上に成り立っているんだ
人間関係と因果関係
ハードサイエンスの世界と違って、人は予想不可能だ、人は因果関係には制約されないと言う人は多い。
それはまったくの間違いだ。そうだな、例えば、母さんの新車のことを私がどう思っているか、正直な気持ちを母さんに伝えたとしたら、どうなると思う? 私にはちゃんと予想できる。人は予想不可能だって?
もしそうだと思うなら、人は予想可能だということを受け入れていることになる。人は因果関係に左右されるものだ、ということを認めていることになるんだ。いいかい、この場合、原因は評価方法で、そして結果は行動だ。もちろん、人は一〇〇パーセント予想可能だと言っているわけではない。でも、電子だって同じだ。それから天気も。
ものごとは、そもそもシンプルである』と信じることが、抽象的なものの有効性を確認するための扉を大きく開いてくれる