『ザ・チョイス』
岸良裕司 監訳 三本木亮 訳
エフラットがエリの主観を獲得する対話編。エリが行っていること、考えていること、その主観を解説している。
https://gyazo.com/cabf1e55f9a3c34553581b361d915041
目次
本書について ラリー・ガット
日本語版への序文 エリヤフ・ゴールドラット
愛するエフラットへ
第1章 二つの選択肢 3
第2章 <ゴールドラット・レポート>あらためて、常識とは何か 23
第3章 なぜ、当たり前のことができないのか 45
第4章 ものごとは、そもそもシンプルである 57
第5章 矛盾と対立 73
第6章 信念を行動に 83
第7章 調和 91
第8章 <ゴールドラット・レポート>決して、わかったつもりになるな(Part1) 103
第9章 ウィン-ウィン 119
第10章 <ゴールドラット・レポート>決して、わかったつもりになるな(Part2) 133
第11章 機会はいくらでもある 147
第12章 <ゴールドラット・レポート>販売期間の短い製品 153
第13章 限界なき可能性 171
第14章 明晰な思考とトートロジー 187
第15章 <ゴールドラット・レポート>コンフォートゾーン(Part1) 209
第16章 人はもともと善良である 225
第17章 <ゴールドラット・レポート>コンフォートゾーン(Part2) 235
第18章 感情、直感、そしてロジック 251
付録 フリーダム・オブ・チョイス 259
解説 岸良裕司 281
本書について ラリー・ガット
p?
「ものごとは、そもそもシンプルである」「人はもともと善良である」という二つの信念の根本的なあり方を説明する
p?
日本語版への序文 エリヤフ・ゴールドラット
私は、CCPMソリューションを開発するにあたって、プロジェクトという環境そのものの根本的な調和とは何かを見極めることに特に注意を払いました。その調和を壊してしまうような根本的な対立を作り出している誤った思い込みとは何か、に集中したのです。しかし、日本からのフィードバックによって、異なる角度から考えざるを得なくなったのです。私は、人と人との間に存在している調和を観察しはじめたのです。何が、人と人の間に不調和な関係を生み出しているのか、なぜCCPMのソリューションによって、同じ環境でも本当に調和のとれた関係を教授することができるのかを調べはじめたのです。
解読するのは比較的容易なことでした。プロジェクトに関わっている人それぞれの立場に自分を置いて考えてみたのです。
p?
私は、状況ごとの固有の調和を明らかにし、その調和に花を咲かせ、果実を実らせることの妨げとなっている対立を取り除くことが、人と人との間の調和を実現するための鍵になると気づかされたのです。
第1章 二つの選択肢 3
?
プロトタイプを作って、だいたいは思った通りに動いたけど、一か所だけうまく動かなかったとしよう。いいかい、ここが重要だ。思った通りに動かなかったのは、ほんの一か所だけ。だけど、どこか一か所でも動かなければ、装置全体としては失敗だ。うまく動かないか、全く動かない。いいかい、エフラット。このプロトタイプを作った化学者、つまりおまえはがっかりするかな?」
乳が話をどこに持っていこうとしているのか、私にはだいたい見当がついた。「ええ、少しはね」と私は答えた。
「なるほど。では、うまく動かない部分をどうやって修正したらいいのかわかったとしたら、今度はどんな気分になるかな」
私の答えに父は頷いた。
「でも、科学者は違う」私は続けた。「どうやって装置が動くのか、それから箱の中味がどんな仕組みになっているのかも分かっている。何がどうしたら、どう動くのか、その原因と結果、つまり因果関係をちゃんと理解しているわ。だから、もしそのプロトタイプが動かなくても、どの部分の因果関係が有効で、どこが有効でないかさえわかれば、うまくいかなかったことにがっかりはしても、理解が深まったことに対する満足感は得られるはずよ」
?
「では、ある装置を作るとして、そのプロトタイプを設計する科学者と、その装置を使うだけの人との違いは何かな?」父が質問した。
簡単な質問だ。自身を持って私は答えた。「普通の人はたいてい、どうやってその装置が動くのか、その中味のことなんかよくわかっていないわ。彼らにとっては、ただの箱にしかすぎないの。だから、装置がうまく動かないと、がっかりするのよ。どうしてもその装置を使わなければならない時は、がっかりするだけでなく、イライラするわね」
父は身を乗り出して言った。「プロトタイプや新しい試みがうまくいかない時、選択肢は二つある。一つは、結果に対して不平をブツブツもらすこと。もう一つは、何をどう修正しなければならないのか、その結果から新たな知識を獲得することだ。要は、選択肢は二つあるっていうことなんだ。今度のレポートのタイトル『フリーダム・オブ・チョイス』としたのは、だからなんだよ」
?
うまくいくと思っているから、がっかりする
p16
「何か、いい喩えはないかな」天井を見上げながら、父が言った。「例えば、ドライバーが一本、ここにあるとしよう。とてもいいやつだ。それから、ここに板があって、ネジが取り付けられている。そのネジを抜き取らないといけない。ネジを外すには、ドライバーが必要だ。必要な道具はちゃんと用意されている。しかし、どういうわけか、板に取り付けられているのはネジではなく、釘だと思い込んでしまう。だとしたら、どうなるだろう。うまくネジを外すことはできるだろうか。取り外せるはずがない。道具がないからといういい訳は通じない。いいかい、人の頭脳には何の問題もない。問題は、現実をどう認識するかだ。そのとらえ方に大きな問題があるんだ。現実は驚くほどシンプルなのに、人は極めて複雑なものとしてとらえてしまう。それが、一番大きな障害なんだ」
第2章 <ゴールドラット・レポート>あらためて、常識とは何か 23
p25 本当にそうだろうか。本当に非現実的だろうか。
では、いかにして年間純利益10億ドルという目標を達成するのか、その方法を議論するというのが通常の進め方だろうが、私はそうはしなかった。私はここで、みんなにさらに別の質問を投げかけた。10億ドルではなく、40億ドルではどうだろうかと。五年で年間純利益40億ドルは達成可能な目標だと思うかどうか、もんなに質問したのだ。答えは、訊く前からわかっていた。そんな数字は、まったく非現実的だと誰もが口を揃えて答えたのだった。
本当にそうだろうか。本当に非現実的だろうか。
純利益の増加は、事業の拡大、あるいは既存の業務の改善、向上によって成し遂げることができる。確かに、すでに大規模な企業の事業を、わずか数年で少なくとも五倍以上に拡大することなど非現実的かもしれない。しかし、既存の業務改善はどうだろう。既存の業務のやり方を改善、向上させることで、純利益を増加させることは出来ないだろうか。
第3章 なぜ、当たり前のことができないのか 45
第4章 ものごとは、そもそもシンプルである 57
第5章 矛盾と対立 73
第6章 信念を行動に 83
第7章 調和 91
第8章 <ゴールドラット・レポート>決して、わかったつもりになるな(Part1) 103
第9章 ウィン-ウィン 119
第10章 <ゴールドラット・レポート>決して、わかったつもりになるな(Part2) 133
第11章 機会はいくらでもある 147
第12章 <ゴールドラット・レポート>販売期間の短い製品 153
第13章 限界なき可能性 171
第14章 明晰な思考とトートロジー 187
第15章 <ゴールドラット・レポート>コンフォートゾーン(Part1) 209
第16章 人はもともと善良である 225
第17章 <ゴールドラット・レポート>コンフォートゾーン(Part2) 235
第18章 感情、直感、そしてロジック 251