おとり広告
「おとり物件」問題、実は不動産会社も物件の有無を把握できていない
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おとり広告告示は、基本的に、「実際」の商品・役務が存在しない場合の表示を規制しています。実際の商品・役務が存在しない場合には、優良誤認表示や有利誤認表示に該当するとは言い難いですが、「実際」には存在しない商品・役務を示す表示は、当該商品・役務に関心を有する一般消費者を誘引したうえで自己が実際に販売する他の商品・役務を売りつける手法として用いられることがあります。
そのため、おとり広告告示は、広告表示において取引対象として示された商品・役務の入手可能性という、商品選択上の前提となる要素について一般消費者に誤認されるおそれのある表示を規制しています*7。
(a)取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合
(b)供給量が著しく限定されているがその限定の内容を明瞭に記載しない場合
(c)供給期間、供給の相手方または顧客一人当たりの供給量が限定されているがその限定の内容を明瞭に記載しない場合
(d)合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合
おとり広告に該当しないケース
例えば、特売の卵のような目玉商品を掲げ、当該商品で顧客(一般消費者)を来店させることで他の商品も販売して利益を確保するといった場合、広い意味ではおとり広告の一種ではないかとも思われますが、目玉商品を示すだけでは前記(a)から(d)には該当しません。目玉商品を示し、それが前記(a)等に該当する場合に、おとり広告告示との関係が問題となります。
事業者のうれしい見込み違いで広告対象商品が早々に売り切れたため、顧客に他の商品の購入を勧めるといった場合、形式的には前記 (a)「実際には取引に応じることができない場合」に該当しそうですが、前記おとり広告告示の趣旨を及ぼすべき場面ではなく、一般消費者を誘引する手段としておとり広告を行ったものではないため、基本的におとり広告告示の適用対象とならないと考えられます。
事例
公正取引委員会
「『スシロー』と称する回転ずし店において、提供した3種類のすし、これらの表示が一般消費者を誤認させる恐れがあり、“おとり広告”に該当する」
スシローがCMなどで宣伝していた期間限定のウニなどのすしを、実際には販売していなかったというのです。
問題となったのは、昨年9月にキャンペーンを開始したウニを使った2つの商品です。期間限定としてCMなどで広告していましたが、公正取引委員会によると、実際には全国の店舗の9割以上で売られていない日があったといいます。
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