『テクノロジーとイノベーション』
https://gyazo.com/13b189f057601bed54d9883252a42f3f
「私にとって、経済とは少なからずそれがもつテクノロジーから生まれるものであった。結局のところ、ある意味、経済というのは私たちが必要とするものを供給するためのテクノロジーをうまく組織したものにすぎない。したがって経済のテクノロジーが進化するにつれて、経済も進化すると考えられる。だが、もしそうだとするならば、テクノロジーはどんなふうに進化するのだろう。そして、テクノロジーはいったいどこから発生するのだろう。経済は、そのテクノロジーをどのようにして生み出すのか? そもそも、テクノロジーとは厳密には何なのか?」
〈ポジティブ・フィードバック〉〈収穫逓増〉〈ロックイン〉などの新概念を経済学に導入し、テクノロジーに依存した産業の振るまいを的確に描写した鬼才が描く、イノベーションの未来。(1)テクノロジーは要素の組み合わせであり、(2)その要素自体がテクノロジーであり、(3)自然現象の利用である、という一見簡便な3つの主題を変奏することで、テクノロジーの生成と進化の姿を重層的に理論化し、デジタル化以後の産業を見通すパラダイムを提供する。
ドメイン、構造の深化、機会のニッチ、生成経済……想像力を刺激せずにはおかない、これら数々のモチーフが鳴り響く、新テクノロジー生成のメタ理論。
目次
はじめに
第1章 疑問
欠けているもの——テクノロジーの「学」/テクノロジーにおける進化/組み合わせ進化/本書のテーマ
第2章 組み合わせと構造
どのようにテクノロジーは構造化されるのか/どうしてモジュール性なのか/再帰性とその結論
第3章 現象
テクノロジーの本質/目的のあるシステム/現象を取り入れる/テクノロジーと科学
第4章 ドメイン——目的を達成させる世界
ドメイン化/言語内の語句のような設計/入り込んでいる世界
第5章 エンジニアリングとその解決法
標準エンジニアリング/問題解決としてのエンジニアリング/組み合わせと解決法/構成要素となる解決法
第6章 テクノロジーの起源
新しいテクノロジーとみなされるのはどんなものか?/基底となる原理を発見する/概念を現実的な形に変える/現象を発端とする発明/発明の核心にあるものは何か?/因果関係のピラミッド/科学と数学における発明/発明と新しい構成要素
第7章 構造の深化
内部構造の交換/構造の深化/ロックイン現象と適用範囲の拡大
第8章 変革とドメイン変更
ドメインはいかに進化するか/経済におけるドメイン変更/経済における時間の流れ/イノベーションと国家的な競争力
第9章 進化のメカニズム
テクノロジーの組み合わせ/機会のニッチ/コアメカニズム/進化の実験/進化の新たな形態とは
第10章 テクノロジーの進化に伴う経済の変化
テクノロジーの表現としての経済/構造変化/問題から解決策を導く
第11章 テクノロジー——この創造物とどう共存するか
生物学になるテクノロジー、テクノロジーになる生物学/生成的な経済/〈純然たる秩序〉対〈不格好な生命力〉/テクノロジーにどう向き合うのか
謝辞
監修者あとがき
原注
参考文献
索引