1元配置モデルにおける効果の検定
基本となる統計量は、以下であり、これらは全て不偏推定量である。
各水準ごとの平均を取ることにより、第$ j水準の母平均$ \mu_{j}が推定できる。
$ \bar{y_j} = \frac{1}{n_j}\sum_{i=1}^{n_j}y_{ij}
全体平均は以下で推定できる。
$ \bar{y} = \frac{1}{n}\sum_{j=1}^{J}n_{j}\bar{y_j}
効果は以下で推定できる。
$ \hat{\alpha}_j = \bar{y_j} - \bar{y}
要因が観測値に対して影響を与えているかどうかを調べる。これはすなわち、$ \mu_1 = \mu_2 = ... = \mu_Jが成立しているかどうかを調べることであり、また、全ての水準で効果$ \alpha_jが0であるかどうかを調べることに等しい。
すなわち、以下を検定すれば良い。
帰無仮説 $ H_0: \alpha_1 = \alpha_2 = ... = \alpha_J = 0
対立仮説 $ H_1: 少なくとも1つの\alpha_iは0ではない
したがって、$ \hat{\alpha}_1, ..., \hat{\alpha}_Jのばらつきが大きければ帰無仮説を棄却すれば良いと考えられる。
群間変動$ SS_Bが大きいほど、$ \hat{\alpha}_j = \bar{y}_j - \bar{y}のばらつきが大きくなる。これはつまり、水準間での平均の違いが大きいということになり、対立仮説がより支持される。したがって、$ SS_Bの値が大きければ、帰無仮説を棄却すれば良い。
しかし、単純に$ SS_Bを比較することは難しいため、群間変動の群内変動に対する比$ Fに基づいて検定を行う。
$ F = \frac{SS_B/(J-1)}{SS_W/(n-J)} = \frac{n-J}{J-1} \times \frac{SS_B}{SS_W}
この$ Fは帰無仮説が正しいときに、自由度$ (J-1, n-J)のf分布に従うことが知られている。 したがって、以下が帰無仮説$ H_0に対する有意水準$ \alphaの検定となる。
$ \left\{\begin{array}{l}F > F_{\alpha}(J-1,n-J) \Rightarrow H_{0} を棄却\\F \leq F_{\alpha}(J-1,n-J) \Rightarrow H_{0}を採択\end{array}\right.
参考:入門統計解析 p312