牡蠣フライ理論
「自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)」という文章中にある。
原稿用紙四枚以内で自分自身について説明しなさいという課題が出されたが、そんなこと可能なのか?という就活生からの質問に対する回答。
自分自身について書くのは不可能であっても、原稿用紙四枚以内で牡蠣フライについて書くことは可能だとして、以下のように続ける。
あなたが牡蠣フライについて書くことで、そこにはあなたと牡蠣フライとのあいだの相関関係や距離感が、自動的に表現されることになります。それはすなわち、突き詰めていけば、あなた自身について書くことでもあります。
自分が好きなので牡蠣フライと言っているが、別のものでもなんでもいいと書いている。
この問答自体がフィクションである気もするけれど、言っていることは腑に落ちる。
ちなみに、この文章では「牡蠣フライ理論」が重要なのではなくて、作家として自己とは何かを論じるその素材として挿入されているということを強調しておく。