インディゴ
ページをめくる手が止まらなかった。
順方向だけでなく、逆方向へも。
これは「読書」なのか?
この体験を表現するためには新しい単語が必要なのかもしれない。
「手の届く意味不明」具合のバランスがすごい。
完全に意味不明であれば諦めてしまうだろう。
本書では材料が全て提示されていて、それを再構築すれば「何が起こったのか」を把握することができるような感覚を持ったまま読み進めるられる。
会話が途切れたりジャンプしたり、それは実際の生活では普通に起こっている。
(小説やドラマではセリフが流暢すぎるとも言える)
妙にリアルで、そのリアルさがちょうど不気味の谷にあるような気がする。
オーストリア・シュタイアーマルク州北部に、ヘリアナウという全寮制の学校がある。インディゴ症候群を患う子供たちのための学園だ。この子供たちに接近するものはみな、吐き気、めまい、ひどい頭痛に襲われることになる。新米の数学教師クレメンス・ゼッツはこの学園で教鞭をとるうちに、奇妙な事象に気づく。独特の仮装をした子供たちが次々と、車でどこかに連れ去られていくのだ。ゼッツはこの謎を探りはじめるが、進展のないまますぐに解雇されてしまう。その15年後、新聞はセンセーショナルな刑事裁判を報じる。動物虐待者を残虐な方法で殺害した容疑で逮捕されていた元数学教師が、釈放されたというのだ。その新聞記事を目にした画家のロベルト・テッツェルはかつての教え子として、ゼッツが手を染めたかもしれない犯罪の真相を追いかけていく──軽快な語り口と不気味さが全篇を覆い、独特な仕掛けがさまざまな読みを可能にする。既存の小説の枠組みを破壊して新しい文学の創造を目指した、神童クレメンス・J・ゼッツの野心溢れる傑作長篇。 ナイフのような思考回路に指を滑らせていく
これは人が読んでよい類いの書物であるのか
私はなにを読んでいるのか?
デジタルゲームで遊ぶときのように、
つぎつぎと現れる多様な断片の組み合わせから、名状しがたい意識が創発する
これは、近づく者を狂わせる複合現実小説(Mixed Reality Fiction)だ
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