無謬性の原則と全体主義
無謬性の原則と全体主義-日本経済新聞
日本の政府や大企業の官僚組織でほとんど無意識のうちに前提とされているのが、「
無謬性の原則
」である。「ある政策を成功させる責任を負った当事者の組織は、その政策が失敗したときのことを考えたり議論したりしてはいけない」という信念だ。
たとえば、次のようなものだ。政府は財政再建に責任があるのだから、それが失敗したときに起きる「財政破綻後」を考えてはならない。日本銀行は2%インフレを達成する責任があるのだから、達成できなかった場合の「出口戦略」を考えてはならない。
政治学者
ハンナ・アーレント
は名著「
全体主義の起源
」で「為政者の無謬性を求める人々の欲求が『
無謬の為政者
』すなわち独裁者をつくり出し、
全体主義
をもたらした」という趣旨の分析をしている。