ファンダムとアソシエーション
ネット空間におけるアイドルやアニメの「ファンダム」と呼ばれるものは、個人的には現代的なアソシエーションの好例だろうと思いますし、マックス・ウェーバーがアメリカで見た「ゼクテ」を肩代わりする機能を内包しているようにも感じます。韓国のアイドルグループBTSのファンダムは、そのなかに教育的な機能もあれば、学会のようなものまであると聞きますので、ダイバーシティやインクルージョンを 標榜 するアソシエーションとしてはお手本となるモデルであるように見えます。その一方で、スポーツファンダム、つまりサッカーのフーリガンがネオナチや白人至上主義団体に組み込まれ、BTSのファンダムと変わらない手法やデジタルツールを使い、どんどんフォロワーを増やしているといったことはよく報道されていますし、MMO(多人数同時参加型オンライン) RPGを現実空間のなかで展開したとも言える陰謀論集団のQAnonも、ファンダムの手法を援用したものと言えます。ここ日本でも政治言論の中心がYouTubeをはじめとするソーシャルメディアに移行していくにつれて、「政治ファンダム」とでも呼べそうな、新たなタイプのアソシエーションが成り立ち始めているようにも見えます。 その意味で、アソシエーションという言葉を、市民文化、シビックカルチャー、シビックテックといった美しい言葉としてのみ語るのは、すでに困難になっています。