2020年電子決済サービス不正引き出し事件
通信会社やIT企業が相次いで乗り出し、顧客の獲得競争が激しくなっている電子決済サービス。その1つ、NTTドコモが展開する「ドコモ口座」を通じて、銀行の預貯金が不正に引き出される問題が発生しました。これまでに明らかになっている被害は、本人が知らないうちに何者かによってドコモ口座が開設され、いつの間にか銀行の口座からお金がドコモ口座に送られてしまうというものです。いったい何が起きているのでしょうか? https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/articles/still/20200911/saku-20200911-01.jpg
何者かが、ドコモと連携する銀行の預金者になりすましてドコモ口座を開設したうえで、銀行の口座からドコモ口座にチャージする形で不正に預貯金が引き出されました。預金者の側から見ると、知らないうちにドコモ口座を開設され、知らないうちに銀行口座から不正にお金を取られてしまったんです。こうした犯行を許したのは、メールアドレスがあれば簡単にドコモ口座を開設することができてしまうという本人確認の不十分さと、銀行側のセキュリティーの不十分さが重なっていたからだと見られます。
全く知らないうちに銀行口座からお金がとられてしまうなんて、怖いですよね。どれくらいの被害が出たんですか?
確認された被害は全国11行で157件、被害額は2760万円に上っています(9月17日午前0時時点)。預金をドコモ口座にチャージする限度額はひと月に30万円ですが、なかには8月末から9月初めにかけて60万円を不正に引き出された人もいます。NTTドコモは銀行とも協議して、被害にあった人に全額を補償するとしています。その後、ドコモ口座以外の電子決済サービスを通じても、不正な引き出しの被害が出ていることが明らかになりました。ゆうちょ銀行では、連携する12のサービスのうち「ドコモ口座」と、「PayPay」、「メルペイ」、「Kyash」、「LINE Pay」、「PayPal」、「支払秘書」で合わせて136件、2150万円の被害が確認されています(9月17日公表分)。