設計変数空間と目的変数空間
設計変数空間
機械構造やモデルにおける設計変数が貼る空間
目的変数空間
人が感覚的に受け取る量からなるパラメーターが貼る空間
目的変数(この場合、
何かをチューニングするとき、「もう少し○○したい」の○○に当てはまる量
「もう少し明るくしたい」→ 明るさ
「もう少し暖かくしたい」→ 暖かさ
道具設計において、設計変数空間を目的変数空間とを相互変換することはしばしあります。
RGBとHSV
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デザイナーにとっては最も身近な例といえます。RGB色空間ははディスプレイの制御には都合がいいですが、人に優しいとは言えません。黄色 = 赤 + 緑 なんてぱっと出てこないですよね。そこで、色をRGBという原色の足し算ではなく、明るさ、鮮やかさ、明るさという認知的に自然なパラメーターに分解し直したのがHSV色空間です。
HSVですらアルゴリズムとして扱いやすいように理想化されている
Oklabなどのより知覚的に均一で自然な色空間(Percepturally uniform color space)も存在します。 FKとIK
蛇口の混合水栓
蛇口をひねってシャワーを丁度いい具合にするとき、頭の中には 「もう少し暖かくしたい」「勢いを強めたい」といった指示が浮かびます。下図左のような2ハンドル型の場合、蛇口は温度と水量のどちらか一方だけをもう一方に影響を与えずに調整することは難しくなります。
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そこで、回転方向が水と湯の混合比率、縦方向が水量のレバーを持つ混合水栓が発明されました。レバー型混合水栓は、 (冷水の量, お湯の量) からなる直交座標系を、より認知的に自然な (水勢, 暖かさ) という2つのパラメーターから座標空間に変換する装置といえます。
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このタイプの混合栓のもう一つの発明は、暖かさと水勢を 2つのハンドルとして用意するのではなく、一つのレバーに統合したことです。こうすることで、暖かさと水勢の調整を片手でレバーに触れたまま切り替えたり、さらには同時に調整することもできます。これは操作距離を縮めるインターフェースと言えます。 https://scrapbox.io/files/66190677de4e1f00250eb0c5.jpeg