Inventing on Principles
https://www.youtube.com/watch?v=PUv66718DII
最後に、もしあなたが原則を持って生きるなら、その原則は何でもいいというわけではありません。
「ソフトウェアを使いやすくしたい」「ユーザーを喜ばせたい」とか、特に最近は「シンプルにしたい」と耳にすることも多いでしょう。悪くはないし、ある程度の指針にはなるかもしれません。しかしどれも漠然としすぎていて、それだけでは直接の行動に繋がりません。
Larry Teslerの「誰もモードに閉じ込められるべきではない」という洞察は、もっと具体的で、世界の見え方そのものを変える力がありました。彼はその原則によって、それが正しい状態にあるか否かを極めて客観的に判断できたのです。たとえば、誰かがテキストを選択しているのを見て「この人はいま“モード”に閉じ込められていないか?」と問い、もしそうなら、それを変えるべきだと確信をもって行動できたわけです。 このトーク、最近何度も見返してしまう。34分あたりからの「自分にとっての原則を見つけること」の話は、前半の5つのデモがあるからこそ、彼自身の実感として伝わってくる。企み人的な曖昧でハイプっぽい言語感覚とは対照的な、誠実さと具体性がある。 彼を持ち上げるのにある種の企画職やコンサル、Design Pannism的なセンスを腐す必要があるのかって思うんだが、実際対人関係や仕事でそれなりに関わりがあって、ずっとそのかち合わなさに悩んでいること。そして彼みたいな、ある意味で「地味」だけど、具体的な信念に接地した実践が相対的に目立たなくなっちゃうことへの悔しさがあるんだろうな。だって、Webデザインやユーザーエクスペリエンス業界で、彼のことを語っている人を自分は見たことがないもん。ぼくもHCIコミュニティと接点をもって初めて知ったくらいだし。 彼のデモに見て取れるような、具体性、細か過ぎて伝わらなさ、それそのものの話をすることの先に、帰納的により根源的な問いが蒸留されてくる感じって、最初にほわほわした「破壊的イノヴェーションの力で世界を変える」みたいな物言いに比べて、実際に世界を変えてきたパターンだと思うのよね