Flasher ディアスポラ
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00年代に隆盛を極めたFlasherコミュニティが、iOSでの非対応やFlash自体サポート終了といった事件を経て各分野に散り散りになった一連の流れをbaku89.iconがそう呼んでいます。
そのまま多くのFlasherたちがHTML5やWebGL環境に移行するかに思えたのですが、ブラウザ間の仕様の違いの吸収や、JavaScriptの独特さ、当時Flashほどのパフォーマンスが無かったことなどが重なり、他の統合開発環境に分散した印象があります。どのOSやブラウザでも同じように動くサンドボックス環境としてのFlashは、デザイナーにとって理想的なツールだったといえます。
その後の新天地としては、TouchDesignerやopenFrameworks、ゲームエンジンを用いたインスタレーション領域で活躍されている方、Webサービスやアプリの設計からより上流のUI/UX方面へと転身された方々に大別できる印象があります。またその一方で、Unityの登場によりiOSでのゲーム開発の敷居が下がったことや、WebGLとDOMを融合させたリッチ表現のノウハウが蓄積されたことで、スマートフォンなど新しいデバイスも鑑みたインタラクティブ表現を掘り続ける方も根強いです。
参考: /lookdev/Flash 「最後のFlasher」こと /lookdev/kitasenjudesign.iconさんによるまとめ 余談
baku89.iconにとってFlasherは世代が一回りか上で、10代の頃から憧れでした。 推薦入試合格者も受ける規則となっていたセンター試験をサボって、ActionScript 3を勉強していたことも。あれだけ盤石に思えたFlashというプラットフォームが、ジョブスの鶴の一声でまるごと無くなる経験を経て、インタラクティブ・コンテンツにちょっとした無力感を感じるようになりました。そうとまではいかずとも、大部分のインタラクティブ作品が、APIの仕様変更、サーバーサイドとの連携、あるいはただのドメイン切れなんて理由で5年もしないうちに動作しなくなり、当時の驚き、操作の気持ちよさの大部分がスポイルされたアーカイブ動画のみがYouTubeの虚空に漂うわけです。少しだけ寂しい気もします。
どうせ最後には動画にベイクされるのであれば、最初から動画として最高なものを作れば良いのでは? という開き直りが、20代のぼくの捻くれたスタンスだったような気がします。もちろん、モーショングラフィックスのようにフレームに固定された動きにはない、触覚的な気持ちよさがインタラクションにはありますし、いずれ動かなくなくなるからといってそれがその当時よさがあった事実まで無くなったことにはなりませんが。