平凡なことが最も非凡
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第一はこういうことだ。つまり、あらゆる人間に共通な物事は、ある特定の人間にしか関係のない物事よりも重要だということである。平凡なことは非凡なことよりも価値がある。いや、平凡なことのほうが非凡なことよりもよほど非凡なのである。(p73) 「平凡なことが最も非凡なのだ」、「歴史は、時代にあっても人生にあっても、人々がコモン(普通)に持ち合わせる平凡なセンス(感覚知覚)にもとづいてこそ、つまりコモンセンス(常識)を貫いてこそ、後生に継承可能の読み物となるという非凡な物語なのだ」という単純な真実を確認するために大騒ぎをいつの世でも演じて止むことのない滞稽な代物であるらしい、と考える一匹のヒューモリスト(人性論者)がここにいたということをこの一連の文章から感じとってもらえれば有り難い、と言い添えてこのエッセイを閉じることにする。(p88)