宮台真司
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抽象的に言えば、グローバル化(資本移動の自由化)によって、社会環境の複雑性が上昇する一方で、今まで個人の負担を軽減してきた市場や国家が不安定になるので、個人の選択能力と社会環境の複雑性の間を媒介する、共同体ないし共同性が大切になるのです。
他方で、社会的複雑性の上昇が再帰性の上昇をもたらします。再帰性とは「選択の前提もまた選択されたもの」という性質。例えば「手つかずの自然」は、今日敢えて手を付けないという不作為です。選択と無関連な自明性はないという認識が、共同性を相対化します。 これらの矛盾する要求に耐えるにはどんな知恵が必要か。それが、これら2冊の主題でした。
学会を意識した大量の論文や著書は『サブカルチャー神話解体』93念が最後。この30年、日本社会学会の水準は概してとても低く、学会内でのポジション取り(沈みかけた船の座席争い)に意味 がないと見切った所から、『制服少女たちき選択』以降一般の読書人に向けて大量に出版するようになりました。
僕は3人の師匠として、廣松涉・小室直樹・見田宗介を挙げてきたけど、思うに、後の僕の研究との兼ね合いでいえば、丹下隆一先生も師匠だった。ただし、丹下先生と僕とは明らかに「共犯性」が作り出す絆によって結ばれていたよ。そんな師弟関係なんて、今あるかな。僕は自分のゼミではやろうとしてるけどね