古典的輸送の問題発覚
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核融合研究初期のプラズマ輸送における古典的な輸送理論は、主にクーロン衝突に基づく古典輸送係数によって説明されていました。以下にその計算式と具体的な計算の概要を説明します。 1. 古典輸送理論の概要
古典的なプラズマ輸送理論は、クーロン衝突による粒子やエネルギーの移動を記述し、主に以下の3つの輸送量を計算します: 粒子拡散係数 $ D
熱拡散係数 $ \chi
電気抵抗係数 $ \eta
これらは、主に次の基本式から導かれます:
a) 粒子拡散係数 $ D
粒子輸送の速度は、衝突周波数 $ \nu_c とラーマー半径 $ \rho に依存します。具体的には:
$ D \sim \frac{\rho^2 \nu_c}{\tau}
ここで:
$ \rho = \frac{v_{th}}{\omega_c}:ラーマー半径(熱速度 $ v_{th} とサイクロトロン周波数 $ \omega_c に依存)
$ \nu_c \sim n \ln\Lambda:衝突周波数(密度 $ n とクーロン対数 $ \ln\Lambda に依存)
$ \tau:粒子が衝突までに要する平均時間
b) 熱拡散係数 $ \chi
エネルギー拡散は、粒子の熱速度と衝突周波数を組み合わせて評価されます:
$ \chi \sim \frac{\rho^2 \nu_c}{\tau}
この式は粒子拡散係数 $ D と類似していますが、エネルギー輸送に特化しています。
c) 電気抵抗係数 $ \eta
電気抵抗は、電子とイオン間の衝突による運動量の損失として表されます:
$ \eta \sim \frac{m_e \nu_c}{n e^2}
ここで:
$ m_e:電子の質量
$ e:電子の電荷
古典理論では、これらの係数を基に輸送速度が予測されましたが、以下のような特徴がありました:
a) 粒子損失率
粒子の損失速度は、ラーマー半径の2乗に比例し、密度や温度に応じた衝突周波数の増加で減少すると予測されました。
具体例:
温度 $ T = 10^6 \, \mathrm{K}
密度 $ n = 10^{20} \, \mathrm{m}^{-3}
クーロン対数 $ \ln\Lambda \sim 10
$ D_\text{classical} \sim 10^{-4} \, \mathrm{m}^2/\mathrm{s}
b) エネルギー損失率
エネルギー損失の時間スケール(エネルギー閉じ込め時間)は、数秒から数分と予測されました。 3. 観測された現象との不一致
実験で観測された輸送速度は、上記の古典理論が予測する値よりも1桁~3桁以上速いことが判明しました。例えば:
観測された粒子損失速度 $ D_\text{observed} \sim 10^{-2} \, \mathrm{m}^2/\mathrm{s}
この差異が、古典理論では説明できない「異常輸送」を理解するための新たな理論(例:乱流輸送理論、ネオクラシカル理論)の必要性を生み出しました。 4. 考察:古典理論の限界
古典輸送は、衝突に基づく分子運動論的モデルであるため、プラズマ中の乱流や波動-粒子相互作用を考慮していません。そのため、トカマクなどの閉じ込め装置で観測された「乱流による異常輸送」には対応できませんでした。 これが、乱流輸送理論やネオクラシカル輸送理論の発展へとつながりました。
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